7.あの日の出来事。(性的暴力被害者と被害者家族へのアドバイス有)
インナーチャイルドセラピーを終えて1週間ほどはすっきりしたような気分だった。
でもその後から私は頻繁に悪夢を見出した。
いつも、何かから必死に逃げる夢だった。
逃げても逃げても、逃げ切れない。
もう、走れない…駄目だ…
そう思った時にだいたいいつもシーンが変わり、母が出てくる。
母はいつも何も言わない。
そして目を醒す。
心臓はバクバクしていて、汗だくになっている。
その夢の中で私は何から逃げているのかはよくわからない。
ただ、とんでもなく怖い。
そして最後にでてくる無表情な母…
突き放されたような、裏切られたような
すごく孤独な気持ち。
この夢の意味はなんなんだろう??
その思いをそのままカウンセラーに言った。
カウンセラー「今まで、実際に母親に対してそうゆう感情を持ったことはありますか?」
私は凍りついた…
私「はい…」
カウンセラー「その時の事話せますか?」
私「…はい…」
私はその時、心臓が口から出そうなくらい動悸がしていた。
気分も悪くて目眩がしていた。
私はよくこの動悸と目眩に悩まされていた。
その場から逃げ出したい気持ちだった。
でも今話さなければ何も解決しない…
苦しみから脱出しなければ…
私は、あの時の事を話しだした。
私「12歳の時、親戚のお兄さんから性的虐待を受けました。
中学一年生の夏休み、私たち家族とその親戚のお兄さん家族は一緒におばあちゃんの家に泊まりました。
何故そうなったかはよくわかりませんが、たぶん夏休みなので親戚同士集まって宴会のようなものをしてたんだと思います。
寝ている間にお兄さんが私の布団に入ってくるのがわかりました。
でも怖くて、何も言えなくて全てが終わるまでずっと寝たフリをしました。
その時は、その意味がよくわからなくて自分を責めました。
私が悪い子だから、罰を喰らったんだ…
何故かそう思い込んでいて、そんな絶望的な日々が続き、夜眠れなくなり、毎晩動悸と目眩に襲われました。
そんな日が約2年続き、ある日の晩私は悪夢を見ました。
大きな怪物のようなものが私に襲いかかり、首を締められる夢。
息ができずにもう死ぬかもしれない…
そう思った時に目を醒ました時、枕が涙で濡れていて、かなり泣いていたようで自分でもびっくりしてリビングでまだ起きていた母のところに行って悪夢の話をしました。
母は、「なんかあったかいものでも飲んで落ち着いたら」
母はホットミルクを作り出しました。
私は何故かまた涙が出てきて止まりませんでした。夜中だというのに私はしばらく泣き叫びました。
母は何があったのか話てごらんと言い、私はあの時の事を話し始めました。
話終わると母は私を抱きしめました。
かわいそうに…
もう忘れなさい。
お母さんもそうゆう経験がある。
もう、忘れることしかないの。
強くなるしかない。
母はそう私に言いました。
私は、強くなるって…忘れるって…
どうやって??
警察に行こうとか、カウンセリングにいこうとか、そうゆう事は言わないの??
その時、母親に抱きしめられながら母の体がすごく冷たく感じました。
それから、また私は悪夢を見る時が度々ありましたが、それを母に話す度に母は鬱陶しそうな顔をしながら、忘れなさい。強くなりなさい。
それしか言わなかった。
私は崖から落ちそうになっていて助けてと大声で叫んだのに、自分で頑張りなさい。
そう突き放されたような感覚になり、心が凍りついたのを覚えています。」
私は途中で何度も泣きながらやっと話し終えた。
「話してくれてありがとうございます。
あなたは立派にここまで人生を歩んで来ました。それがあなたの強さです。
それ以上強くなる必要はありません。
何一つ、あなたのせいではありません。
これからは強くなる事より自分を癒やす事に専念して下さい。」
あれから18年、ずっと背負っていた大きなカバンの荷物の蓋をようやく開ける事ができた。
でもまだ開けただけだ。
中身はまだまだ沢山詰まっている。
18年間分の中身が…
それは簡単に整理できそうにはなかった。
私は見なかったフリをしてまたそのまま歩いて行くか悩んだ。
でもやっぱり荷物は重たすぎた…
私は戦う事を決意した。
*ここからはもし自分が性的暴力にあったとき、もし自分の子供が性的暴力にあったとき、
どう対応すればいいのか具体的なアドバイスをします。(後に長年のセラピー、EMDR、沢山のトラウマに関する書籍等を読んだ著者なりのアドバイスです。私は決してセラピストやカウンセラーではありませんが、当事者目線でのアドバイスです。)
自分が性的暴力の被害者になったら
まずは、安全を確保しましょう。
守ってくれそうな人、安心できる人の近くにいましょう。
警察に行けるなら行く。
性的暴力は犯罪です
犯罪として、警察に通報して下さい。
性的暴力の多くの加害者は家族の場合も少なくありません。
その場合、なかなか人に打ち明ける事は難しいと思います。
残念ながら今の日本の警察に性被害の話をすると、詳しい内容を事細かに聞かれます。証拠も求めれます。被害者の精神的な負担をあまり気にしてくれない事がほとんどです。
警察や知っている人に話すのが難しい場合、
地域の電話サポートサービスを利用しましょう。
その地域ごとに、女性サポートセンター、児童相談所、保健相談所、チャイルドライン、自殺防止ホットラインなどがあります。
自分が話しやすそうなヘルプセンターで話してみましょう。個人情報を教えなくても話を聞いてくれるので安心できます。
また電話がし辛い場合はメールでも相談を受け付けている機関もあります。
カウンセリングを受けるのは非常にオススメします。
抗うつ剤や安定剤などの精神薬は確かに効果はあります。
私も毎日、抗うつ剤を欠かさず飲んでいます。
でも、薬だけではトラウマの根本的な解決にはなりません。
薬は痛み止めのようなものです。
もし必要であれば、薬を飲みながらカウンセリングを受けるのが一番効果的です。
自分の子供や家族が性的暴力の被害者だと知った場合
被害者本人があなたに話してくれた場合、
話してくれてありがとう
もう大丈夫と言ってあげて下さい。
そして、絶対に誰にも言わないと約束しましょう。
基本的には被害者の願望通りに従う
被害者に警察に行けるか聞き、
行きたくないと言えば無理矢理連れて行かない、行きたいと言えば一緒に行ってあげましょう。
カウンセリングを受けるかどうかも被害者次第です。
まずはカウンセラーを見つけ、こんな人だけど話してみない?
と聞いてみて下さい。
本人が希望しないなら無理矢理押し付ける事はしないでおきましょう。
もし自分自分も同じような体験をしている場合
自分も同じく性的暴力を受けた、とは言わない。
あなたのお子さんやあなたの家族は今、自分自身の被害の事で心が張り裂けそうなくらいの辛さを感じています。
今、自分の親や家族が同じ目にあった事を知るとさらなるショックです。
今自分自身の被害について言う必要はありません。
話をしたいならカウンセラーに話しましょう。
カウンセリングの種類は色んなものがあります
トーキングセラピー
行動認知療法
ヒプノセラピー
EMDR…など
私は色んなセラピーを試して、EMDRが一番効果的だったと思います。
EMDRについてはまた後ほどお話しします。