このドラマ、全然 "アンメット" じゃない!
どうも、僕です。
最近は、昔ほどテレビを見なくなっているのですが、そんな中でとあるドラマにハマっています。
「アンメット ある脳外科医の日記」というドラマで、記憶障害を持つ脳外科医が自身の障害と向き合いながらも、脳外科医であり続けようとする姿が描かれている作品です。
主人公である川内ミヤビを演じるのは、杉咲花さん。余談なのですが、僕は「慢性杉咲花症候群」というのを患っておりまして、彼女が出演する作品を見るたびに、その魅力に惹き込まれてしまうんですね。しかし、その中でも今回の作品は段違いな気がしています。
この作品は、キャスト、ストーリー性、映像技術、演出などの要素が高次元で重なり合っているんですよね。どれか一つでも抜けてしまうと、途端に陳腐な作品になってしまいそうなのですが、そこを絶妙なバランスで展開しているところが素晴らしいと思っています。
まず、主演の杉咲花さん。彼女の演技には本当に惹き込まれます。本人と役柄が完全にシンクロしているかのような錯覚すら覚えます。なので、演技が演技じゃない。台本なんてまるで存在しないかのようなセリフ運び、口調、ニュアンス、抑揚。落ち着いた口調の中でも、決して雰囲気を暗くすることはなく、彼女の発する言葉には川内ミヤビの思いが確かに込められていることが感じられてならないんですよね。
そして、ミヤビの記憶障害を救うために心血を注ぐ、一風変わった脳外科医である三瓶友治を演じるのは、連ドラ出演は珍しい若葉竜也さん。三瓶は、ミヤビが記憶障害になる前に婚約者だったという過去も持っている複雑なキャラクターです。脳外科医としてミヤビを救いたい思いと、婚約者として彼の中に残るミヤビの記憶との間で、揺れ動く感情を本当に繊細に表現しているんですよね。決して、賑やかなキャラクターでも、口数が多いわけでもないのに、存在感がハンパじゃない。この役は、若葉さんにしか演じられないと言っても過言ではないくらい物語に溶け込んでいます。
そして、何と言ってもこの二人だからこそ醸し出せる雰囲気が、物語中に散りばめられています。このドラマは、あえて言葉を発することなく、場面が展開していくシーンが多く、手術シーンなどでは、ただ手術中の環境音が鳴り響いているだけという場面などもありますが、こうしたシーンが物語の展開にメリハリを与えています。この二人がいることで、無言のシーンの中でもまるで心の会話が聞こえてくるような感覚を受けます。
記憶障害というテーマ上、その時にミヤビがどのような思いを抱いているのか、何を思い出し、何をしようとしているのかなど、キャラクターの心情を自分なりに感じ取りながら見る必要があります。そんな時に、あえての静寂に包まれるかのようなシーンは、見ている人の頭を整理するための時間にもなっているのではないかなと。
そして、この二人を取り巻くキャラクターも、各々が脇役にとどまらない存在感を放っています。その中でも特に、千葉雄大さん演じる星前宏太の存在はかなり物語の中で大きな要素になっていると思っていて、明るく頼れるリーダーというキャラクターをうまく物語に溶け込ませています。ストーリー自体は決して明るいものではない(希望を見出すことはできますが)ので、下手をすると星前先生のキャラクターは浮きかねません。でも、そこを千葉さんの演技力で見事にカバー、というか物語の中の確かなスパイスになっていて、とてつもなく自然な存在になっているんですよね。
一人一人のキャラクターについて書いていると膨大な量になりそうなので書きませんが、とにかく "出演者全員で物語を紡いでいる" という感じがものすごく心地いいです。
そして、映像技術もまた素晴らしい。聞くところによると、映画で使うような高度な機材なども使っているようで、これまでの日本のドラマとは一線を画したクオリティが素人でもわかります。機材のクオリティ、カメラワークなどで、人間の心の機微みたいなものまで映し出せてしまうところが、本当に驚きです。
完全にベタ褒め記事になってしまいましたが、そんなアンメットも今日で最終回。杉咲さんが「あと90話分くらい撮影したい」と表現していましたが、見ている側もまだまだ見ていたい気持ちでいっぱいです。ミヤビの記憶障害の行方、三瓶先生との関係、全ては今晩の放送を楽しみに待つことにしましょう。