【ネタバレ感想】若おかみは小学生!
今年見た最後の映画で、とても面白い映画だったので、感想を書き留めておこうと思います。
以下、ネタバレを含みます。ご注意ください。
この映画は主人公のおっこが、事故にあったことで見えるようになった幽霊たちや旅館で出会った人たちとの繋がりを通して、おっこの現実に対峙する、というストーリー展開が素晴らしかったです。
おっこは物語の冒頭で両親を亡くしていますが、そのことを他の人に聞かれても、おっこはあまり悲しむ様子を見せていませんでした。
これはおっこが何度も幻想の中で両親と会うシーンが描かれていたので、その中で両親が生きていると思うことで心の安寧を保っていたからだと思います。
ですが、両親を事故で死なせた加害者が旅館に来てしまい、目の前にいる人が自分の両親を死なせたこと、加害者の家族は楽しそうにしている現実を見て、両親が生きているという幻想が解けてしまいます。
おっこは泣きながらお父さんやお母さん、ウリ坊や美陽の名前を呼びますが、おっこの元へは来てくれません。
今まで自分を支えてくれた人たちがいなくなっていく中、旅館で仲良くなったお客さんのグローリーがおっこを慰めてくれます。
旅館を通して新たに出会った人たちが、おっこを支えてくれる。
なにもかも自分の元からいなくなってしまって、 もう自分を支えてくれる人が一人もいないと思い込んでしまっていたおっこですが、現実にはもう自分を支えてくれる大切な人がそばにいる。
おっこはそのことを初めて理解し、両親を亡くした子どもではなく、春の屋旅館の若おかみ、として自分の現実を受け止めることができました。
辛い現実の中で、自分の生きる道を見つけることができたおっこの人生を温かくも厳しく描いた、素敵な映画でした。
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