ファンの資格
昨日、とある同人声優さんの待望の新作が出たので購入して聞いてみた。
この声優さんの作品とは割と縁が長く、デビュー作からの付き合いだ。勿論発売が予告された際には大変楽しみにしていたし、今までの作品も全部買っていた。
今回、初めてレビューというものを書いた。文字数ギリギリまで使って書いたレビューだ。
しかし、それはきっと日の目を見ることはなく却下され闇に葬られることになるだろう。何故かと言えば、自分がその音声作品につけた評価は星1(最低)で、内容が作品を貶めていると誤解させるであろう内容と判断されただろうからだ。
誓って言うが、僕はレビューで作品を全く貶めてなどいなかった。ただその内容が非常に漠然としており、また個人的な感傷を多く含む内容で、レビューとして購買層の意欲を削ぎかねないと判断された、それだけの話だ。
18禁の音声作品なので、内容は非常にコンパクトながら充実したものだった。真摯に作品に向き合うその姿はかつて演技の道を目指したいと思った身としては羨ましいほどで、実演にも積極的に取り組んでいた。
それなのに、そんな素晴らしい作品に最低の評価を下してしまったのには、ひとえに実演中に耳に届いたたった一言と、それによって感じた感傷と自分の身勝手さに恥ずかしさと情けなさが一気に押し寄せてきて、とてもじゃないが、自分にはこの人のファンである資格はないのではないか、こんなことを気にするなんてファン失格だ、と思ってしまったことに尽きる。
結局の所、自分はこの音声で『抜く』ことはできなかった。もっと言えばその一言を聞いた瞬間自慰を行う手を止めて、音声を止めてしまった。
他の人たちならおそらく99.9%のユーザーが聞き流したであろうそのセリフ。自慰行為に没頭するあまり思わず口を突いて出てしまったその一言。
結論を先に言ってしまえば。彼女は事の最中に無自覚にこう口にしたのである。
「子宮まで届く」と。
それを聞いて、思ってしまったのである。この人は今は非処女で、どなたかと性経験を重ねたことがあるのだな、と。
弁解させてもらえるのなら、普段の自分はそんなことはほとんど気にしない。例を挙げるなら、今や同人声優として不動の地位を獲得した野上菜月さんの実演時代の音声で、彼女が非処女であろうことを口にしても気にも留めなかったし、彼女が結婚していると一時騒動になった際には心の中で理解ある旦那様に出会えてよかったですと祝辞を送ったほどだ。
あとは、エロトイtuberデビューを目指すようになった桜上水彩音さんの経験が垣間見える箇所を聞いてもなんとも思わなかったし、それ以外の方でも非処女であることが分かる描写には悉くスルーを貫いてきた。
要は。今回の沙汰は自分が勝手に幻想を抱き、勝手に都合のいい期待をし、そして勝手に裏切られたと感じた、非常にどうでもいい葛藤がすべてであり、彼女自身には何の非もなかったのである。レビューにはその複雑な心境が反映された、それだけのことだ。具体的な事は何も述べていないにせよ、彼女に抱いていた身勝手な願望、身勝手な期待、それら諸々を顧みて、自分は本当にこの人のファンでいていいのだろうか、こんなことを考えるなんてファン失格だと酷く落ち込んで音声を聞く気がなくなってしまったのである。
重ねて言うが当の声優さんには些かの非もない。彼女が誰と体を重ねようがそれは彼女の自由だし、もしお付き合いが継続しているのならばそれは祝福すべきことだろう。元より僕は同人声優ガチ勢ではないし、彼女に何か特別な感情を抱いていたとかそういった事はない。別に処女厨というわけでもなく、できれば初めては処女とがいいけど、贅沢は言わないから性経験皆無の自分に優しく手ほどきして筆おろししてくれる相手が現れないか、そう考えて妥協する、それくらいのものだ。
この音声を買う以前、その声優さんの感謝祭が開催されるのを知り、流石にデビューから時間が経ってるのもあり、非処女であることも折り込んで質問などに回答もした。それなのにこの体たらく。
正直男として情けなくて、あまりにも幻想を見過ぎていた自分を恥じて、彼女に合わせる顔がないのが正直な所である。
これを知ったらきっと彼女は怒るか、酷く悲しむだろう。申し訳ないという気持ちにさせてしまうことも正直あり得るとすら思っている。
沈んでしまった気持ちを埋め合わせようと思いつつも、それをする術が正直見つからない。当たり前のことだが、僕は彼女に謝罪など欠片も望んでいないし、お叱りの言葉も正直受け入れる気ですらいる。
本当に、適切な距離で接するべき声優さんにこのような感情を抱くなどファン失格だ。正直有り金を下ろして、彼女に自分の理想通りのシチュエーションの個人依頼をする事すら視野に入れている。
それくらいしなければ、この気持ちは償えない。そんな気がするのだ。
勿論恋愛感情でないことは言うべくもないが、自分勝手な理想に彼女を閉じ込めて、自分勝手な期待を彼女にして、そして勝手にそれに裏切られた。正直言って、情けないことこの上ない。
非処女であることくらい、別にどうってことないと思っていただけにこのショックは正直大きい。
劣等感と苦しみが付きまとって、彼女の姿がまともに見れない。
僕には魅力的な部分が何もない。何かに特別努力しているわけでもなければ、誇れる何かがあるわけでもない。男らしさから降り、一生女性に縁のない人生を歩むことを余儀なくされた、ただの障害者であり、顧みられること皆無の病人でもある。
仮に彼女に恋心を抱いていたとして、彼女には全く魅力的に僕の姿は映らないだろう。それくらいに、人生には失望しているし、同時に絶望している。
彼女にどうお詫びをすればいいのか、そればかりずっと考えている。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?