#106 じーちゃん、久しぶり。
おととし、初めてひとりで島に来たときに、祖父はまだ入院中で
ガラス越し、しかも5分くらいしか会えなかった。声も電話越しで耳が遠い祖父には厳しかったと思う。
昨年末、島に来て会うつもりが、こっちが入院してしまい、祖父が退院してくるタイミングでも会えず、今の老健に入るタイミングも会えず。いろいろ手続きが進んで特養に入ることができたけど、面会ダメ元で頼んでも出来ず。
このまま隣の建物に居るにも関わらず会えず終いで東京帰るかな~とか
オンラインで面会できたらいいや~とか
それこそ特養入れてじじ孝行できたし、島に来た本来の目的が達成されたから満足だ~とか
もうこのご時世だし会えないのは仕方ないねと母と話していた
でもどこかにこんな近くにいるのに会えないもどかしさが毎日残る。
しかしそんな願いが届いたのか
祖父の暮らす老健・入院中の病棟・ドクター・リハビリ室で連携をとってくれたのか
『外歩き』
というリハビリの名目で、今日老健から特養へ移動する前、介護タクシーに乗り込むタイミングで
ガラス越しではない再会が叶った。
一緒に写真も撮れた。
間に隔てるものがなにもない再会は
自分が小学生のとき以来で約20年ぶりだった
車イスで老健の玄関を出てくると思ったら
杖をついてしっかり地を踏んで出て来てびっくりした。
「島に来て、ケガしちゃって歩けなかったけど、ここまで歩けるようになったよ。東京帰るまでじーちゃんの家借りるからね」
するとしっかり聴こえる声で
「大変だけど頑張らんば」
と言葉が返ってきた。
思わず
「じーちゃんもごはんしっかり食べて体なるべく動かしてがんばらんばいかんよ!」
と言葉が出た。
久しぶりに近距離で見る祖父の瞳、一昨年より遥かに輝いていた気がする。
結果論だけど
もともと取っといた休みの6日間ではここまでは出来なかった。
入院しながら看護師さん、PTさん、病院の地域連携室、隣の老健の担当者さんたちから地域資源の情報を集めてようやく見つけた特養に入れたのは、ここまで滞在していたから。
両足の踵を骨折という痛い結果になってしまったけれど
東京から遠く離れた祖父の生活を安心して見守れるのならもうそれで・・・。
本来の目的が達成できた。
「つぎの施設もきっと楽しいところだから、ゆっくり過ごしてね!また来るから!」
と伝えて、母、老健の担当者さん、PTさん、自分でしっかり見届けができました。
ここまで組んでくれた皆様に本当に頭が上がりません。何度もお礼を伝えた。
俺もリハビリがんばらんばな。
じーちゃんに怒られちゃう。