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くろねこ
2021年2月7日 15:53
「ご苦労だった。座りたまえ」とある夕食の席、会員制のレストランで、腹をでっぷりと肥やし、葉巻をくわえた老人が、部下に呼びかけた。手元には、既に赤ワインが注がれたグラスを持っている。「はい、お望みのままに」手揉みをし、部下は着座した。ワイングラスを揺らしながら、老人は問いかけた。「して、『Yamaneko』はどうなった?」部下は、なるべく平静を装って応えた。「はい、きっ
2021年2月4日 11:25
私は『Yamaneko』の体を抱きしめた。「戦いは終わったんだ。もう誰かが君を傷つける事はないんだ。おかえり、暖かい世界へ」しばらく黙って受け入れた後、『Yamaneko』はこう言った。「確かに、目に見える戦いは終わった。けれど、名前を失った。...どっちが勝ったんだろうな。いや、勝ち負けすら無いんだろう。ノーコンテスト。誰も見てないところでの戦い」『Yamaneko』は、深く深
2021年1月31日 17:12
『Yamaneko』と出会ったのは、少し小高い山の上にある森だった。「自由に生きたい」『Yamaneko』はそう言うと、ゴロンと横になった。『Yamaneko』の体は、見るからに傷つき、疲れ果てていた。「そんなこと言うなら、少し休んだらいいじゃん。別に休んだからって死ぬわけじゃないんだし」毛布をかけようとすると、『Yamaneko』は機敏な動きでそれを避けた。そして、じっと