【旅メモ お遍路をゆく】5日目 14~17番札所 区切り打ち最終日
楽しいまま最終日の朝を迎えた。うんうん、おじいちゃんの朝ごはんが美味しすぎる。普段は朝飯を食べない私ですが、さすがにお遍路は体力勝負だから朝飯は命。胃に負担のない軽めの朝ごはんはありがたいです~。が、やはりおじいちゃん、ご飯てんこ盛り(笑)
朝ごはんの時におじいちゃんと埼玉のダンディなおじさんが今日予定するお寺への道や見どころを色々と教えてくれました。なるほど~とうなずく情報もあって助かる。さあ、7:30にしゅっぱ~つ!
さて、今日は宿から2.5キロ先の常楽寺からスタート。焼山寺からおりて大日寺に至るまでに段々と「街中」になってきたけど、常楽寺に向かうお遍路道はもう本当に「街中」。自宅前で木を剪定するおじさんや、お掃除しているおじさんから「どこからきたの~?」と話しかけられた。ちゃんと人がいた(笑) どうやら13~17番札所は、その距離の短さとアクセスの良さから徳島市の五カ所まいりとして人気のようですね。
しばらく進むと相田みつをさんの名言が彫られた碑を発見。個人宅の道路に面した場所に、宝船に乗る七福神が彫られた石碑と合わせて置かれていました。しばし足を止めて読む。はい、まさにその通りです、と納得。
ほどなく14番札所、常楽寺に到着~。山門までの石の階段が結構味のある感じで古いお寺が好きな私は期待が高まる。
階段を上り、境内を見て深く感動。ここは自然の大岩盤でできた「流水岩の庭園」が有名で、まるで岩が流れているように美しい。今回は1番から17番まで巡り、霊仙寺や安楽寺といった有名どころも参拝したけれど、私は何気にこの常楽寺が一番のお気に入りとなった。来てみなければ感じることのできない独特の雰囲気がある。
そして常楽寺では唯一見逃さなかった「見どころ」がある。そう、それは「アララギ大師」。糖尿病・眼病平癒の祈願ができる。今はまだ健康だけど、遺伝は怖いものだ。神様、どうかどうか糖尿病になりませんように、と願ってみたものの未来への願いは今はまだダメか(笑) しかし、さすがに私。実はこのアララギ大師の上部には小さなお大師様の像がちょこんと座っていたそうで、木は見逃さなかったものの、小さなお大師様には会えず。あー、やっぱりやり直しだ(笑)
流水岩に見とれてちょっと長居してしまったけど、次は国分寺。今日は9キロ弱しか歩かないから余裕をかましてる(笑) 1キロ、約15分で到着~。
大師堂で弘法大師様の手と縄で結んでいるという独鈷杵(とこしょ)を発見。「南無大師遍照金剛」と唱えながら触れるとお大師様との同行二人の結縁ができるという。・・・やりました(笑)
次は観音寺。ここまで2キロで30分くらい。観音寺は普通の民家に囲まれた立地です。あっ、ここ?ってつい通り過ぎそうになったほどです(笑)
さあ、次はとうとう本日の、そして今回の区切り打ちのクライマックスである井戸寺じゃ!3キロ、45分くらいね。
着きました。井戸寺です。・・・ここが最後かぁ~。
井戸寺に着いた時点で10時47分。バスで徳島駅まで戻る予定だけど、確か次のバスは11時04分。ん?あと15分しかない・・・。お参りは10分でも十分だけど、御朱印もらってバス停まで歩くと微妙に間に合わない。いや、恐らく無理。せっかくだから慌てたくもないしな~。きっと流水岩を見過ぎてたんだわ。途中で珍しい花の写真なんかも撮ったし・・・、ってな訳でゆっくりお参りすることに決定~。最後のお寺だもん。
ここで私はまたやっちまいました。井戸寺にはその名の由来にもつながる「面影の井戸」というのがあるそう。なんでもお大師様が掘った伝説の井戸で、覗き込んで自分の姿がうつれば無病息災、うつらなかったら3年以内の厄災に注意が必要なんだって。あー、この井戸、確認するの忘れた。金泉寺の黄金の井戸は忘れなかったのにぃ~。はい、やり直したい(笑)
お参りを終え、呑気に納経所へ行って御朱印をもらうも、改めてバスの時間が気になった私。今何時?今は11時15分。貼ってあった時刻表をみて言葉を失う。なっ、ない。バスがない。13時までな~い。2時間な~い!
納経所のおばさまに「すみません、バス以外に徳島駅に戻る方法ありませんか?」と聞くと「駅がある」とのこと。おっ、電車があったか!そっかそっか。バス停が近かったからバスで決め打ちして、電車はろくに調べてもいなかったけど、そう言われれば来るときに線路を渡った記憶がある。あの辺りまで戻るのかぁ、と頭の中でぐるぐる考える。(ちなみに徳島県は日本で唯一電車がない。ディーゼル車(汽車)だからだ)
しかし、ここからが今回のお遍路で一番辛い経験になろうとはこの時はまだ知らなかった(笑)
よし、次の電車は11時40分。駅までは歩いて25分程度。今出ればちょうどいいじゃないか。2時間待つくらいなら歩こう。そう決めて出発しようとしたところ、なっ、なーい!今度は手袋の片方がなーいことに気が付く(笑) ようやく道に落ちていた手袋を見つけたところで残り20分を切っていた。
あとは想像つきますね?10キロの荷物を背負ったまま約1.7キロのお遍路道を走りました、力の限り。走れど走れど線路が見えず。こ、こんなに遠かったっけ・・・?足がもつれる。あー、荷物のせいで全速力では走れない。もうダメなのか?そう思いかけた時に線路が見えた。あーっ、見えた、線路だ(涙)と思ったら、警報機が鳴り始める。えっ、まっ、まさかもう電車が?でもあと2分はかかりそう。もう今何分なの~!!とひたすら走り続ける。心はほぼ諦めていた。「もう無理・・・」
でも私はお遍路に来たのだ。そう、お遍路だよ。仏様のご加護があるに違いない。頭では無理と思いつつ、走り続けてホームに飛び込む。田舎の駅だから?網のフェンス越しがすぐホームで、しかも目の前が出発ホームだった!まさに駅員さんが最後の指差し確認中~。あーっ、まだ電車があった・・・(涙)
息が切れるどころか倒れそうに電車に近づいていく私を見て驚いた顔の駅員さんが言う。「とっ、徳島駅行きです。乗りますか・・・?」。被せて答える私。「乗ります!」。息絶え絶えでも、この返事だけははっきりとすぐできた(笑) ぎりで飛び込んだ私に他の乗客の視線が注がれる。ん?なにか珍しいでしょうか??そして乗ること12分、徳島駅に到着。ん?ねぇ、私ってそんなに近くにいたんだ・・・(笑)
めでたくお昼頃までにホテルまでたどり着き、午後は眉山観光に出掛けることになる。しかし、あの全力ダッシュの駅までの20分が、お遍路で初めて、そして唯一辛いと思った道のりだったことをここに記録しておく。みなさん、バス電車の時間には本当に気を付けましょう・・・。
これで初めての区切り打ちお遍路は一旦終了。今のペースだと年1回行けたとして8年かかる予定。会社員じゃなければねぇ・・・(笑) さて、次をどうするか、また考えましょう。