手を握ると、気持ちが楽になるんだよ。と言ってくれたあの人
私は術後しばらく眼科に通院していたのけど、その時に病院の待合室で出会った人たちの事を書こうと思う。
その頃、私は病気がショックだった事もあり、夕食以外は決まったもの(野菜ジュースとヨーグルトのみ)しか取れなくて、しかもほとんど寝られない状態だった。
そんな普通ではない状態で病院に行って、待合所で何時間も待つという事が苦痛だったし、不安でたまらなかった。
この後どうなるのだろう。仕事は出来るのか。
そんな中、同じ病気の人と少し話すと気持ちが楽になった。
最初に話した人は私と同じく、数年前に網膜剥離になった60歳くらいの女性の方。私はその頃いつか元通りに見えるんじゃないかと思っていて、その人にも聞いてみたのだけど。
病気の方の目は、ほとんど見えないとの事だった。
でも、「貴方は若いからまだ何とかなる。」と言ってくれた。
そして、私が不安で震えていた(その時は本当に震えていた)ので、呼ばれるまで手を握ってくれたりした。
その方は、職場が合わなくてメンタルクリニックに通っていたと言っていた。そして、一番苦しい時に網膜剥離になったそう。その頃は、毎日毎日、苦しい苦しいと思ってたけど、今は薬も整理したし、随分良くなったらしい。
そして、辛い時苦しい時、こうやって手を握っていると、すこし気持ちが楽になるんだよ。と言って、ずっと私の手を握ってくれていた。
私も病気になる前は、育児が大変で苦しくても誰にも相談できかったし(その頃は気づいてなかったけど)喘息も併発していて体力的にも精一杯、精神的にも誰にも頼れない日々だった。
なので、何となく皆んな同じ思いをして、この病気になるんだな、と思って少し気持ちが楽になった。
最初に話した人が、こんなに暖かい人で本当に良かったと思う。
この後、通院が続き何度か同じような人と話す機会があったけど、皆さんとてもよくしてくれた記憶がある。
町の眼科では見れないような眼科に来ている人は、皆どこかしら不安だし、誰かと話す事で気持ちも落ち着くのだと思う。
私は、あの人が握ってくれた手に助けられて、あの後も何とか過ごせた。
こうやって思い出す度に、人って優しいなと思っている。