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たぶん分かり易い!気候変動に関する政府間パネルIPCC第5次評価報告書の超要約版(3)観測事実(世界の平均気温)

【世界の平均気温に関する報告書の要点】

世界平均地上気温は、1880年〜2012年の期間に0.85℃[0.65〜1.06℃]上昇している。[ ]内の数値は90%信頼区間

1951年〜2012年の期間に比べ、1998年〜2012年の期間における地上気温の上昇の変化傾向は弱まっている

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環境省「IPCC第5次評価報告書概要(2014年12月版)」より引用。

これは、放射強制力の変化傾向の弱まり(火山噴火による太陽放射の減少と11年周期の太陽活動の下降時期)と自然起源の内部変動(熱の海洋中への再分配)が概ね同程度に寄与している。

【解説】

1951年〜1998年の傾き(0.12℃/10年)に比べ、1998年〜2012年の傾き(0.05℃/10年)が小さくなっています。この原因として①火山噴火による影響、②太陽活動の下降時期、③熱の大気から海洋への移動が挙げられています。報告書に記載されている「放射強制力の変化傾向の弱まり」とは、種々の要因により地球に入射する太陽放射エネルギーが減少することです。

火山噴火の影響は、噴煙が大気中に漂い太陽光を遮ることにより気温が低下することです。特に大規模火山噴火により噴煙が成層圏(大気の対流圏の上層で高度十数km〜50km)に到達した場合、地球の平均気温が数年にわたり低下する(1991年フィリピンのピナツボ火山では世界気温が0.5℃低下)ことが知られています(主に硫酸エアロゾル=微粒子の影響による)。

太陽活動の下降時期とは、11年周期で増減する太陽放射の低減期にあったということです。

熱の大気から海洋への移動とは、読んだままで空気の温度が海水面温度よりも高い場合に熱が大気から海洋へ移動するということです。

【補足】

気温が上昇していることは「疑う余地が無い」と結論付けされています(前回の投稿参照)が、上昇量については測定精度等の問題もあり曖昧な部分が残っているように思われます(課題を指摘し改善提案をしている研究者もいます)。地球温暖化が本当に喫緊の課題であるならば、IPCCが率先して気温測定の課題把握と改善を行う必要があるのではないかと思います(温暖化懐疑派の攻撃の的にもなります)。

従って、地球の温暖化については、気温上昇以外の種々の観測結果と合わせて総合的に現在の状況を考察することが良いと思います。

海洋の温度変化については、次回の投稿に書きます。

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