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地球温暖化とIPCC第六次評価報告書の話/一般者向け入門解説(3)

※写真はまだ小さいカマキリの子供(6月初め頃撮影)

一般の人にも理解できるように地球温暖化とIPCC第六次評価報告書の話を分かりやすく解説します。今回はIPCC(気候変動に関する政府間パネル)のこれまで評価報告書の結論(第一次〜第五次の結論の流れ)を紹介します。


3.これまでのIPCC評価報告書の結論(報告書の要点)

(1)第一次評価報告書(1990年)
人為起源の温室効果ガスがこのまま大気中に放出され続ければ、生態系や人類に重大な影響を及ぼす気候変化が生じるおそれがある

(2)第二次評価報告書(1995年)
全球平均気温及び海面水位の上昇に関する予測から、人間活動が人類の歴史上かつてないほどに地球の気候を変える可能性がある
温室効果ガスの蓄積に対する気候系の反応は時間スケールが長いことから、気候変化は多数の重要な点に関しすでに取り返しのつかない状況にあるといえる。

(3)第三次評価報告書(2001年)
過去50年間に観測された温暖化のほとんどが人間活動によるものであるという、新たなより強力な証拠が得られた

(4)第四次評価報告書(2007年)
気候システムの温暖化には疑う余地がない。このことは、大気や海洋の世界平均気温の上昇、雪氷の広範囲における融解、世界平均海面水位の上昇が観測されていることから今や明白である。

(5)第五次評価報告書(2014年)
気候システムに対する人為的影響は明らかであり、近年の人為起源の温室効果ガス排出量は史上最高となっている。近年の気候変動は、人間及び自然システムに対し広範囲にわたる影響を及ぼしてきた。
気候システムの温暖化には疑う余地がなく、また1950年代以降、観測された変化の多くは数十年から数千年間にわたり前例のないものである。大気と海洋は温暖化し、雪氷の面積は減少し、海面水位は上昇している。

※各報告書の結論は、環境省のHPおよびIPCC統合報告書より引用。


【補足説明】

2001年に発表された第三次評価報告書の中に過去1000年の気温変化の図が掲載されていました。過去1000年の中で20世紀後半の気温上昇のみが非常に急激で、その形がアイスホッケーのスティックの形に似ていることからホッケースティック曲線と呼ばれています。

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上図において、気温測定値の無い過去の気温は木の年輪の幅や密度の測定、地層中の花粉や同位体の分析からの推計値です。この過去の気温の推計値の決め方(方法論)に問題があることが指摘され激しい論争が行われました。

その結果、2007年の第四次評価報告書、2014年の第五次評価報告書では過去の気温の推計研究の結果が複数提示され、それらの結果の分布が図示されるようになりました(下図)。分かり難い図ですが、1000年頃の気温が2000年と同程度に高いことが分かります。気温上昇の変化も20世紀末と同様に急激です。

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2001年の第三次評価報告書で「新たなより強力な証拠が得られた」と結論付けましたが、その中のデータが論争の的となりました。2007年の第四次評価報告書、2014年の第五次評価報告書では「気候システムの温暖化には疑う余地がない」と結論付けていますが、IPCCの評価報告書内容に疑いを持っている人達が多くいるというのが現実のようです。例えば、アメリカでは共和党=温暖化懐疑派です。日本国内では、一般の人に比べて専門知識や情報を持っている人達に懐疑派が多いように思います(懐疑派の中にはかなり極端な否定派もいます)。

従って、人為起源の温暖化と自然起源の温暖化を正確に評価し、すべての人が納得できる評価結果を示すことが必要であると思います。

次回は、先日発表された第六次評価報告書の第一作業部会報告書の概要を解説予定です。

以上