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たぶん分かり易い!気候変動に関する政府間パネルIPCC第5次評価報告書の超要約版(7)観測事実(気候の極端現象)

【報告書の要点】は報告書記載内容から重要な文章をそのまま引用。【解説】は報告書に記載されている内容を用いて要点を解説。【補足】は報告書以外の情報も含めて私が必要と思う情報を記載。


【報告書の要点】

気候に対する人為的影響は、大気と海洋の温暖化、世界の水循環の変化、雪氷の減少、世界平均海面水温の上昇、及びいくつかの気候の極端現象の変化について検出されている

【解説】

[可能性が非常に高い(確率90%以上)現象/1950年以降]

 ⇒ほとんどの陸域で寒い日や寒い夜の頻度の減少や昇温

 ⇒ほとんどの陸域で暑い日や暑い夜の頻度の増加や昇温

[可能性が高い(確率66%以上)現象/1950年以降]

 ⇒ほとんどの陸域で継続的な高温、熱波の頻度や持続時間の増加

 ⇒大雨の頻度、強度、降水量の増加

 ⇒いくつかの地域で干ばつの強度や持続期間の増加(世界規模での確信度は低い)

[可能性が高い(確率66%以上)現象/1970年以降]

 ⇒極端に高い潮位の発生や高さの増加

[ほぼ確実(99%以上)な現象/1970年以降]

 ⇒北大西洋での強い熱帯低気圧の活動度の増加

【補足】

1950年以降、ほとんどの陸域で寒い日が減って暑い日が増えた、また、寒い季節の最低気温と暑い季節の最高気温が上がった可能性が非常に高い、ということです。都市部ではヒートアイランド現象の影響も加味されているように思います。

継続的な高温や熱波の頻度や持続期間の増加は、ヨーロッパ、アジア、オーストラリアで可能性が高く、世界的規模での確信度は中程度です(証拠が限定的または見解の一致度が低い可能性があります)。日本では猛暑日(35℃以上)の日数が増加傾向です。

大雨の頻度、強度、降水量は地域性もありそうですね。日本では1時間降水量50mm以上の短時間強雨の回数が増加傾向です。

干ばつの強度や持続期間の増加はいくつかの地域でのことで、降水量の増加する地域と減少する地域に分かれる、という傾向があると考えられます。

極端に高い潮位に関しては、海水温の上昇や低気圧の気圧低下が要因となりますので注意すべき現象と思います。夏場で大潮の日に低気圧が接近すると潮位が上がります。また、風上側に開いた湾に強風、暴風が吹くと、吹き寄せ効果で海面がさらに上昇します。

強い熱帯低気圧の活動度の増加が確実なのは、今のところ北大西洋限定ですが、今後、他の海洋も同様になるのか注意が必要と思います。現状では、長期的(100年規模)変化の確信度は低いとされています。

次回以降は、将来予測(気温、降水量、海面水位、海の酸性化、雪氷圏、極端現象、炭素循環等)です。

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