昭和の石油ショックと令和以降の地球温暖化
【昭和の石油ショック】
昭和も随分昔となってしまいました。
むかし、むかし、昭和の40年代と50年代に「石油ショック」という事件が2回ありました。石油の価格が急騰し、物価が上がり不景気になりました。トイレットペーパーや洗剤が売り切れるという現象もありました。
当時は、「石油は有限の資源でありこのままのペースで使い続けると20世紀末までには石油が枯渇する」と言われていました。もちろん、少数派ですが反論している人もいました。
結果として、2020年時点で石油は枯渇していません。石油ショックの後、省エネが進み、新しい油田が発見され、シェールオイルという岩盤層からオイルを回収する新しい技術も開発されました。
更に、太陽光発電パネル、大型風力発電、地熱発電等の自然エネルギーを活用する技術も開発されました。自動車の燃費も大幅に改善されました。
将来の危機を予測して種々の技術開発を行なった結果、石油枯渇という危機を回避しました。
【令和以降の地球温暖化】
令和の時代において将来の一番の危機は地球温暖化だと思います。このままでは、地球が温暖化し、極端な気象現象が発生し、生態系が破壊される、と言われています。二酸化炭素濃度が上昇を続けているということは明確な事実です。
人間活動により発生する二酸化炭素(人為起源二酸化炭素)は、一部は植物が光合成で利用し、一部は海水中に溶け込み、残りは大気中に留まります。菅首相が言っている「2050年に二酸化炭素排出量実質ゼロ」の実質とは、「人為起源二酸化炭素発生量を植物が光合成で利用する二酸化炭素量以下にする」ということです。
この地球温暖化という危機から脱するために様々な技術開発が行われています。自然エネルギー活用や輸送機器の燃費改善の技術開発は20世紀から継続してやっていますし、自動車をはじめとする輸送機器の電動化のためのバッテリーや燃料電池の開発、二酸化炭素の地下貯留技術の開発等も行われています。さらに、太陽光を利用した人工光合成により、二酸化炭素からメタノールやメタンを合成する研究も行われています。
上記の技術開発以外に、植林や森の保全、木材の利活用促進等による植物の二酸化炭素吸収量増加という対策も有効です。
石油ショックと同様に危機を回避し、地球温暖化も心配し過ぎだったね〜、と今世紀の末に笑っていられるのかどうか。
地球温暖化の危機を回避するためには、石油ショックの時以上に、今を生きている私たち一人一人の意識や行動が非常に重要である、という気がします。