鉄道旅の車窓から観る地域の気候
私は鉄道旅が好きで、多少遠くても飛行機ではなく鉄道で旅をします。自宅地域から目的地までの間をすっ飛ばすのではなく、移動中も車窓の眺めを楽しみたいからです(車は目線が低いのと運転しながらということがややマイナス)。
列車の車窓からは海や山や川といった景色だけでなく、沿線の樹々や街並み、建物、家も観ています。すると色々なことに気づきます。その中で今回は気候に関することを紹介します。
1.山形新幹線の車窓
山形県の庄内地方(酒田市、鶴岡市)を旅した帰り、新庄から山形新幹線に乗って車窓から沿線の家々を観ていました。雪の多い地方なので、エアコンの室外機は雪に埋もれないように高い位置に設置してあります。その高さが新庄から天童、山形、米沢にかけて変化していることに気づいたのです。バラツキはあるものの、ざくっと平均すると新庄付近のエアコン室外機設置高さが1.5m程度なのに対し、天童付近は1m程度、米沢付近では0.5m程度で、北から南に行くに連れて徐々に高さが低くなっていたのです。エアコン室外機の設置高さから、その地域の積雪深(量)が推察できるということでもあります。
雪の多い地方へ行くと家の屋根形状の違いにはすぐ気づくと思います。急傾斜で雪が落ち易い屋根、平坦屋根の中央部に直線状の排水溝があり溝から屋根端にかけて緩やかに高くなる逆傾斜の屋根(屋根ヒーターで雪を溶かし排水溝から排水する)の2つが主要な形状です。私の観察では、新しい家の屋根はヒーターで雪を溶かす平坦屋根の方が多いように思います。ヒーターで溶かす方が楽でいいので、今後はそちらが主流になると思います。
2.北海道、特急おおぞらの車窓
特急おおぞらとは、札幌と釧路間を走る特急列車で片道約4時間です。札幌から特急おおぞらに乗り、南千歳を経て東進し釧路に向かっていました。札幌から南千歳、トマムまでは非常に良い天気で、田植えを終えた田んぼや山々の新緑がきれいでした(時期は6月上旬)。
トマムの先で日高山脈をくぐる長いトンネルに入りました。そして、トンネルから出ると天気が全く変わって低い雲が垂れこめていました。その日はオホーツク海に高気圧があり、日高山脈の東側はオホーツク海からの冷気の影響を直接受けて雲が発生していたということです。
日高山脈の東には、帯広市を中心とした十勝平野があります。十勝平野は酪農が盛んな地域で、車窓からも牧草地や放牧牛を観ることができました。しかし、酪農が盛んということは稲作に適さないということか?と思いつつ車窓の景色を観察したところ、列車から見た範囲では十勝平野に田んぼは見当たりませんでした。
釧路に着いて列車から降りると前日いた旭川・富良野(田んぼはたくさん有りました)と比べて明らかな気温差(寒さ)を感じました。また、十勝平野の民家でエアコン室外機が設置されているのは稀で、釧路の民家にはエアコンの室外機はありませんでした(お店、会社、ホテル等には有る)。
*札幌のエアコン設置率は約5割、旭川は3割程度と推測(車窓から観た印象)。
最近では北海道でも「ゆめぴりか」や「ななつぼし」といった美味しいお米が生産されています。しかし、道東地方(帯広、釧路等)は道南・道央地方に比べて明らかに気温が低く稲作には適さないことを実感しました(夏場は日照時間も少ないようです)。
日高山脈の西と東では山の樹々も異なり、広葉樹と針葉樹の比率にも差があるように思いました(気温の低い東は針葉樹が多い)。
*人の手(植林)が入っているエリアは、このような傾向は分かりません(新幹線の車窓から観ると青森県は植林された杉が多い)。
列車の車窓から天気の変化、田んぼの有無、エアコン室外機、樹々の構成等を観察し、その地域の気候の特徴を知るというちょっと(かなりかな?)マニアックな話でした。
3.北海道旅行の写真
私のマニアックな話に付き合って頂き、ありがとうございました。気分直しに北海道旅行で撮った写真をご覧下さい(今週、東海道新幹線と東北北海道新幹線を乗り継いで行ってきました)。野生のうさぎやリスが見られるとは、さすがに北海道だなと思いました。釧路で釧路湿原ノロッコ号の車窓から可愛い鹿の親子も見ましたが、写真には撮れませんでした(残念!)。熊に遭遇しなかったのはラッキー!