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【超詳細出産レポ】ようこそ世界へ

この記事では出産時に私の身に起きたことをできる限り鮮明に綴っていきます。出産翌日に忘れないようにスマホに残したメモを元に加筆修正を加えた文章です。
ところどころ生々しい表現がありますが、通常の出産レポでは端折られているであろう行間まで出産のリアルをお伝えできたらと思います。

出産3日前

36週の妊婦健診。
この時点で子宮口が2cm開いていた。
まだお産が始まっていないのに子宮口が開いていることにびっくりした。
2か月前から切迫早産傾向で自宅安静を指示されていたのだが、「今陣痛がきたらあとは産むのみだから、もう安静にしなくてもいいよ。」とのこと。自由に動けるようになり安堵した。

出産2日前

夜寝るときに少し強めの張りを感じる。
痛みはなく、お腹に違和感がある程度。
「これが噂に聞く前駆陣痛ってやつかな?」と思いながらいつも通り抱き枕を抱えて眠りについた。

出産前日~当日

16:30ーお散歩

無事正期産に入ったこともあり、少し散歩に出かける。
行き先は近所の徒歩10分の100円ショップ。
お腹が大きかったのと、長らく外に出ていなかったのでゆっくり歩いて片道20分くらいかかった。
今思えば少し無理をした外出だったけど、自由に外に出られる開放感を味わった。

23:00ー陣痛のはじまり

たまたま早めにお風呂とご飯を済ませて、まったりタイムを過ごしていた。
そんな中…

「いてててて…って…あれ…?なんかこの腰がずーんとなる感じ…なんか久しぶりだな…?」

元々生理痛が重かった私にとって、陣痛の始まりは未知の感覚というよりも、懐かしい痛みというほうが近かった。
生理痛のような痛みが波のようにきては、1分くらいで不思議と和らいでいく。

「とりあえず…間隔でも測ってみようかな」
事前に携帯に入れておいた陣痛アプリを開く。

4-6分間隔みたいだけど、これは…陣痛??
いまいちピンとこない。

安産教室で「陣痛がきたら分かりますか?」と質問したら、助産師さんに「絶対に分かるから心配しないで」と笑われたことを思い出す。もっと「これだ‼︎」という痛みだと思っていたけれど……
「これ…陣痛なのかな…⁇」

トイレにこもってみるとペーパーに少しだけ赤い血が付いた。もしかして、おしるしってやつ⁇
「これ…陣痛っぽい…!」

ちょっとソワソワしながら病院に電話してみる。
冷静で明るい助産師さんが電話に出て、慣れた口調で「入院の準備を持って来てくださいね」と言われた。…いよいよだ!

時刻は23:45、あらかじめ夫と打ち合わせていた通り、カーシェアを取りに行ってもらい、車に乗り込む。
夜の道路は空いていて、出産に向けて道がするすると開いているようだった。

夜間通用口まで夫にお見送りしてもらう。
夫と一緒なのはここまでだ。
解禁されていた立ち会い出産が奇しくも昨日からまた禁止になっていた。
夫に手を差し伸べて握手する。
「大丈夫だよ」「いってくるね」「ちょっとだけ不安だよ」色んな意味を込めてぎゅっと握った。

24:00ー病院到着

入口でPCR検査を受けて陣痛室に通された。
NSTの機械をつけてしばらく待機。
胎児の心拍だけでなく陣痛の痛みも数値化されて出ていてちょっとおもしろかった。
助産師さんの内診。
「子宮口4センチ。やわやわになってきてるよ。お産だねぇ。」
わ、本当にこのままお産になるんだ!

外で待機してると言っていた夫に連絡。
直前のLINEでは「待機してるけどちょっと夜の散歩してこよっかな」とのこと。
そういうロマンチックなところ素敵だな、と思ってふふっと顔がほころんだ。
でも散歩は必要なさそう。このままわたし、赤ちゃん産むみたい。
24時過ぎに産院についてから、30分も経たずの判断だった。

助産師さんに「いろいろ準備してくるから待っててね」と言われてひとり陣痛室に残されて痛みに耐える。
と、近くの部屋から
「んんんんんんーーー!うぁぁーーー!痛い痛い痛いぃぃぃ」
と明らかにわたしよりもヤバそうな声が聞こえる。

…え、わたしも今からそうなるの…?!
陣痛アプリとにらめっこしながら数を数えて不安を紛らわせた。
長くても痛いのは1分だけ、痛いのは1分だけ…
あとから振り返ると、他の妊婦さんの絶叫を聞きながらひとりで陣痛を耐えていたこの時間が1番不安で長い時間だった。

「ごめんごめん、他のお産が急に進んじゃって…」とナイロンエプロン姿の助産師さんが現れたときは心底ホッとした。
一度分娩台で先生の診察を受ける。
これが分娩台…!私、ほんとに今から出産するんだな。
しばらくすると診察してくれる先生が登場した。
パジャマ姿の、初めて会う男性の先生だ。
こんな夜中にパジャマで駆けつけてくださるなんて。お医者さんって大変だな、と他人事のように思った。

「子宮口7-8センチ。これ破水したら早いよ。お水が降りてきたらすぐに教えて。朝には産まれるかな。」
え、出産って十何時間とかかかるんじゃないの?
朝には私、お母さんになってるの?!

2:00ー破水

一旦陣痛室に戻って夫にLINEで状況報告。
するとすぐにパシャっと何かが溢れ出た。
人生で初めてナースコールを押す。
マイクがあるのかないのか分からないけど地声でも廊下に通じる大きな声で「破水しましたー!」と叫ぶ。
また分娩台に上がる。時刻は2時。
点滴の針を刺される。
点滴って初めてだけど、刺すときとっても痛いのね、でも今は陣痛も痛いから相殺されてお互い気が紛れてる。
助産師さんが優しい声で「初産にしてはすごく進みがいいよ!2時半には産まれるかな。」と声かけてくれる。
えええ?!朝までじゃなくて、あと30分でわたし、お母さん?!

あわてて夫に再度実況中継。
ドンドン見込みが早くなっていく。
生理痛が重かったおかげでうまく陣痛耐えられてるわぁ…あと30分ならがんばれそう!
と気を抜いていたが、ここからが本番だった。

「もう子宮口全開だ。じゃあ、次に陣痛がきたらいきんでみよっか!」

……あ、いきむって、どうするんだろ?
私はここでようやく気づく。
ヤバいヤバいヤバい、陣痛に耐えることばかりが頭にあったけれど、出産ってわたしが自分で主体的に出さないと終わらないんだ!!!

「分娩台の横にあるバーを握って、お腹を見るように力を入れてみて。お通じのときとおなじ感覚で正解だよ。」
助産師さんのアドバイスを受けて、とりあえず痛みに合わせて力を入れてみる。
「そうそう、上手上手ー!」
「今赤ちゃんの頭ちょっと見えたよー髪の毛が2cmくらい生えてるよー」
助産師さんが声をかけてくれる。
その後何回かいきんでみるけど、全然進む気配がない。
時間は2時半を過ぎ3時になった。
聞いていた見込み時間を過ぎたので、内心ちょっと焦り始めた。
わたし、うまくいきめていないのかな…?

3:00―促進剤投与

「どうやったら上手にいきめますか?なんかやり方間違ってますか?」
助産師さんにアドバイスを求めるも…
「んー…。上手なんだけど、決め手に欠けるというか…陣痛と、陣痛の間隔もちょっと開いちゃってるねぇ…」とのこと。

さっきの男の先生がやってくる。
「促進剤入れて」
そ、促進剤…!促進剤入れるとめっちゃ痛いって聞くけど…。
ちょっと身構える。
それにこの先生の内診、とっても痛いのよね。
でもそんなことも言っていられず、内診されて、促進剤投与。
たしかに少しお腹が痛くなったような気がしたけど、このときにはもういつ痛くていつ波が引いたのかよく分からない混乱状態になっていた。
助産師さんに「いついきむか分からなくなっちゃいました…教えてください」と頼んで掛け声をかけてもらう。
「そろそろかなー、波がきてるよねぇ、痛いねぇ。いきんでみよっか、せーのっ」
何回かいきんで「やっぱもう無理…」と休憩に入ろうとしたとき…
「もうここまできたんだからいっちゃいないっちゃいな!もう一回ほら!」
いつの間にかやってきていた先生の声が聞こえた。

3:19―誕生

えええー!
でも、そう、わたしが主体的に出さないと終わらないんだよね…
どこに力を入れていいのかも分からないままで力を振り絞る。
お腹を上からぎゅうぎゅう押される。

「そそそそ。もっともっともっと!」
なんか先生、部活の監督みたい。

プチッ、カシャンと音が聞こえて「あ、これが噂の会陰切開だ」と気づく。
切られた痛みはほぼなかった。
もう切っちゃったからには産んじゃうしかない!!!
どうにでもなれーーー!


「もういいよもういいよ力抜いて力抜いて」

力…抜く…無理…!
なんとか必死に深呼吸した。
うまく力が抜けたかどうかなんて分からない。

「出てきたよー!誕生だね!3時19分。へその緒が1…2
…3…4!4周も巻いてる!」
「それでお産が進まなかったんだね!進まないには理由があるもんなんだねぇ。」
先生と助産師さんが冷静に会話するのが聞こえてきた。

その後、かわいい小さな産声が上がる。

これが、私の赤ちゃんの産声!
わたし…やり切ったんだ…!

ほやほやの赤ちゃんを胸に乗せてもらう。

わぁ…あなたがずっとお腹の中にいたのねぇ…!
ようこそ、この世界に!
わたしがあなたのお母さんだよ。

ホッとした気持ちも束の間、産まれた後の胎盤を取り出す後産に入る。
これがまた想像よりもとっても痛い。
「イタタタタタ…!」
思わず体をよじって声を出すと、
「もうここまでやったんだからがんばんな!」
さっきの先生からスパスタ指導が入る。
でも監督、産んでからもこんなに痛い目に遭うって聞いてないよー!

その後、ちくっと麻酔を刺されて、切ったり裂けたりしたであろう会陰を縫合する。
産湯できれいになった我が子を抱かせてもらう。

なんてかわいいんだろう…!
世間では、生まれたての赤ちゃんって猿みたいとか、ガッツ石松とか言われてるから、ちゃんとかわいいって思えるのかな…と不安だったけど、全然違うじゃん!
唯一無二のほやほやの我が子。
頭もおてても爪もこんなにも小さい。
口を金魚みたいにぱくぱくさせて、小さな舌がのぞいている。

LINEで夫にテレビ電話。
これからこの子を2人で大切に守っていこうね。
しばらくの対面を終えて我が子は引き上げられていった。
ちょっと切ない気持ちになる。

産後~病室移動まで

産後の点滴が始まりしばらくした頃…
寒い…!
出血量が多く、体が冷え切ってしまっていた。
全身がガタガタ震え始めて歯がカタカタなるほどに震えている。
助産師さんがお部屋に入ったタイミングで必死に訴えた。
「さ、寒いですー!」
暖かいお布団をかけてくれた。
助産師さん、あったかい。
これじゃ子どもを産んだ私の方が何にもできない子どもみたいだな、なんて思った。

助産師さんが隣に来てくれたタイミングで声をかける。
「何から何までサポートしてくださってありがとうございました。初めて顔を合わせたのにこんなにずっと優しくしていただけて…無事出産できたのも本当に助産師の先生のおかげです。」
今伝えられるだけの感謝の気持ちを言葉にした。
助産師さんは自分が「先生」と呼ばれたことにきょとんとしつつも嬉しそうに笑ってくれた。

その後も分娩台でひとり休憩の時間だった。
陣痛のときもそうだったけど、部屋にひとり残されると、痛みと向き合うしかなくなる。後陣痛もじわじわかなりしんどかった。助産師さんに聞いてみると、子宮収縮剤を点滴しているからだそうだ。痛み止めはお昼前にならないと処方できない、と言われてしまった。
「子宮収縮の点滴が終わったら病室に移動だからね。」
痛みの中でひとりでいることがしんどくて、早く点滴終われーと液が落ちるのを見守るしかなかった。

遠くの窓から朝の光が漏れはじめる。
鳥が鳴き始め、そのあとしばらくして蝉が鳴き始め、初めての朝を迎えた。
間違いなく人生の転機となったこんな日にも、皆に平等に朝がやってくる、ということが不思議だった。

病室移動~朝ごはん

点滴がようやく落ち着いて、病室に移動できるようになった。
別の点滴のパックと一緒に病室に移動する。
付き添いの助産師さんから「朝ごはんまでにトイレ、いけるかな?」と声をかけられる。「何かあったらすぐに助けに入れるように鍵は締めないで。無事終わったらナースコールで呼んでね。」と言われる。お産でふらふら、体中が痛い中、トイレひとつでも大仕事だ。ちょっとビクビクしながらもトイレを済ませる。ふらふらで感覚がおぼつかなかった。後から知ったのだが、助産師さんは、産婦さんが最初のトイレを済ませるとようやくホッとするらしい。最初のトイレを無事見届けるまでがお産なのだとか。

なんとかトイレを済ませて、朝ごはん。
朝からボリューム満点の和食がキラキラ光って見えてまぶしい。
食べなきゃ回復しないと思って無理にでもひと口目を口に運んだが、思いの外するする食べることができた。

夫とのひととき

その後、また少しだけ我が子と対面することができた。
毛むくじゃらでつぶらな瞳で、あいかわらずお口をぱくぱくさせている。
この世に出てきたばっかりでこんなにも小さいのに、生まれた瞬間から世界一大切で愛おしい。

すぐに夫とテレビ電話を繋ぐ。
コロナ禍で立ち合いができなかった分、この生まれたてほやほやの状態をなんとか夫と共有したい。
私もこの子もがんばったよ!
この子がずっと私のお腹にいた子だよ!

私は心配性で、生まれてきた我が子をちゃんと愛せるかな…可愛いと思えるのかな…なんて心配していたが、全く心配無用だった。
小さなパーツひとつひとつが心の底から愛おしい。

夫にもこの愛しさを画面越しに精一杯伝えたい。
5日後に本物に対面して私と同じように一瞬で射抜かれるに違いない。
今からそれが楽しみだ。

改めて、我が子へ。

ようこそ世界へ。
これから私が君に世界を案内してあげるよ。
一緒にたくさんこの世界を見て聞いて触って、目一杯楽しもうね。
これからどうぞよろしくね。

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