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涙の海を泳ぐ。


「あなたにしか言えない秘密のこと」 2007



女の子のとりとめないナレーションで始まり、
女の子のとりとめのないナレーション
で終わる。


主役は喋らない。


喋らない。



ふだんは工場で働く彼女の休暇は、

海の油田、掘削場の
重傷の火傷した掘削員の
看護をすることにした。

海へ渡り、寝たきりで、目も見えない
ティム・ロビンスの世話をする。

たった6人の乗組員。



シェフは退屈のあまりに料理に
手に塩をかけます。
彼女は夢中で食べます。

彼女に味覚が戻ったのかもしれません。
今まで彼女は最低限生きられるような
簡素な食事しか食べていませんでした。



フランクなティム・ロビンスの会話にも
応じない。

「じゃあ僕の秘密をしゃべるから
 君の秘密を教えて」


「ぼくは泳げない」

初めて笑う主人公。

海で働いているのに、泳げない。
そして、なんで水が怖くなったのか。
なんで火に飛びこんだのか。
少しずつ打ち明ける。


そこから彼女もとうとう秘密を打ち明ける。
戦争の最中、国連軍が来ても、
非人道的な仕打ちが止まらなかった事。


ティム・ロビンスが目が見えない事、
彼女は1ヶ月で看護を終えるから、
喋れたのかもしれません。


人間はここまで錯乱するのか。
平時の世の中の犯罪がどんなに凄惨でも、
信じられない、と思う事件でも
戦争というシュチュエーションでは
こんな事をみんなでやるんだ。



女の子は彼女を守るもうひとつの
存在だったのかもしれません。
酷いストレスの中、
これは自分がやられてるんじゃないんだ、
もうひとつの人格を形成する。
たぶん、その症状だと思います。



「一緒になりたい、守りたい」

「もし、ある日、
 自分の涙で部屋があふれる日が来ると思う」

追いかけるティム・ロビンスを彼女は断る。

「ぼくは泳ぐ」

ふたりで暮らし始めて、

女の子が消えました。





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クロミ
相互フォローや好きフォローの方からのサポートもうれしいのですが、本当に100円に値するかどうか検証したいので、本当に満足できたら、100円ください。また、その理由をメッセージに書いてもらえれば勉強になります!p(^_^)q