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黒い目の子ども2:ねぇ
冬に近い、秋の日の夜。
男は終電で一人暮らしのアパートに帰るところだった。
最寄りの駅で降り、近くのコンビニで夕飯を買って出て行く。
アパートまでは5分程度で着くが、踏切に捕まるとプラス3分くらい待つことになる。
そして、今日は運悪く捕まってしまった。
弁当の入ったコンビニの袋をぶら下げながら電車が通り過ぎるのを待つ。
この辺りは閑静な住宅地で、電車以外の音は聞こえない。
ゴトンゴトン、ゴトンゴトン
足に若干の振動を伝えながら電車は通り過ぎて行く。
そのあと10秒くらいは踏切も上がらない。
もう少しだけ待つ時間が続く。
ざ…ざ…
踏切が上がるのを待っている男の背後から足音が聞こえた。
スニーカーのような音だ。
やけにゆっくり歩くような感じだった。
歩きスマホでもしているのかと思い、男はそれほど気にしていなかった。
踏切が上がると男は再び歩き始める。
そのあとにスニーカーの音も続く。
ざ、ざ、ざ
気のせいか、その音は男の歩く速さに合わせているような感じだった。
男はそれが気になり始める。
辺りの静けさがさらに不気味さを誘う。
男は決して背後を見ないように早く家に帰ろうと、さらに歩く速さを上げたとき。
「ねぇ」
背後から男の子の声が聞こえてきた。
※この物語はフィクションです。あと、不定期です。