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【DeepTech①】四角くて持ち運べるガスボンベ!?【MOF】【atomis社】

本日ご紹介するディープテック・ベンチャーは、京都大学発ベンチャーの「atomis社」です!

(atomis社のHPはこちら

atomis社は、多孔性配位高分子(PCP/MOF)とよばれる新素材を開発しています。 この素材のキーワードは「多孔性」。 多孔性といえば吸着ですが、従来の素材(ゼオライトなど)とは何が違うのでしょうか?

PCP/MOFは、金属と有機配位子が立体的に組み合わさった構造体です。 有機配位子とは、炭素原子(C)を含むものです(「有機化合物」の「有機」ですね)。 金属と有機配位子が網目のように結合していくと、間に細かい孔がたくさんできます。そこに気体などを吸着するのです。

金属と有機配位子の組み合わせはなんとムゲンダイ! いろいろな組み合わせを使って、さまざまなパターンの孔をつくることができるのです。 たとえば、虫取り網と料理に使うザルでは孔の形や構造が違いますよね。こんなふうに、用途に合わせていろんな孔を設計できます。

しかも、孔の数がめちゃくちゃ多いそうです。 なんと1mm2あたり200京個!! (某スーパーコンピュータの「京」と同じですね) なので、かなり効率的に物質を吸着できるそうです。

金属と有機配位子は「配位結合」とよばれる方法で結合しています。 配位結合の特徴は、その強さを制御できること。 たとえば、金属により弱く結合する有機配位子を使用すれば結合を弱くできます。 これにより、PCP/MOFの形を柔軟に変えることもできます。 結晶なのに形が変わるなんて不思議ですね!

ゼオライトや活性炭といった従来の多孔性材料は普通の結晶です(配位結合じゃない)。そのため柔軟性はありません。 孔の設計を変えることも難しく、さまざまな用途に応用するのは困難でした。 その点、PCP/MOFは設計自由度が高く、柔軟性もある。いろんな用途に応用可能なのです。

たとえるなら、 ゼオライトや活性炭:頭の固い上司 PCP/MOF:流行を常に取り入れる若い社員 といった感じでしょうか。 (ちょっと偏見入れすぎ?)

PCP/MOFは食品、化学、電池など、さまざまな分野での利用が期待できます。 中でもatomos社が現在力を入れているのは、高圧ガス用ボンベの開発。 PCP/MOF中にガスを効率的に吸着させる方法で、従来の重いボンベを軽い容器に置き換えようとしています。 容器の形は四角。持ち運びもしやすそうです。

高圧ガス業界をはじめ、さまざまな分野でイノベーションを起こしそうなPCP/MOF。 atomis社の今後の動向が楽しみです!

【参考】
【JOIC環境イノベーション・チャレンジピッチ】株式会社ATOMIS「あらゆる気体を閉じ込め、制御できる技術」


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