【DeepTech②】治療装置を小型化!誰もが治療可能な未来へ【陽子線がん治療】【ビードットメディカル社】
今日のディープテック・ベンチャーは、治療装置の小型化により陽子線治療の普及を目指す、 「ビードットメディカル社」!
(ビードットメディカル社のHPはこちら)
陽子線によるがん治療はX線などよりも効果が高い治療法ですが、装置サイズが大きく、導入費用が高いことがネックです。同社はこの課題に挑もうとしています。
水素や酸素などの原子は、「原子核」と「電子」からできています。 陽子線治療に使用される「陽子」は、原子核を構成する粒子のひとつ。実際のがん治療では、陽子を束にして加速したものを身体に照射します。(ちなみに、X線は光の一種で、粒子である陽子とはまったく別物だったりします。おどろき!)。
陽子線は、体内の深部にある腫瘍にピンポイントで到達できます。一方でX線は、身体の表面で多くが吸収されてしまいます。 つまり、陽子線を使用する方が身体の奥にあるがんを効率的に攻撃できるんですね~。ぜひとも陽子線で治療したいところです。
しかし、従来の陽子線治療装置は大型で高価なので、導入できる病院は限られていました。これを小型&安価にすることで陽子線治療をより普及させようとしているのが、ビードットメディカル社です。
陽子線治療では、治療効果を高めるため、患者さんに対して複数の方向から陽子線が照射されます。 従来の装置ではこれを実現するため、照射装置が患者さんの周囲を360度回転していました。しかしこれでは、どうしても装置が大型になってしまいます。
一方でビードットメディカル社の装置は、一方向から来た陽子線をぐにゃりと曲げて、さまざまな方向から患者に照射します。従来のような回転機構がいらないので、装置を小型化できるのです。 下図の点Oの位置に患者が寝ていて、左から来たビームが電磁石40で曲げられて患者に照射されます(特許第6387476号)。
同社は陽子線治療の照射時間を予測するAIの開発も進めているとのこと!AIは本当にいろいろな分野に活用されてきていますね~。
陽子線治療の普及を目指す同社の取り組みに、今後も注目です!