わたしとキリンジ
#クロミミ的音楽
DNAに組み込まれたサウンド。
わたしとキリンジ。
キリンジといつであったのかはもう思い出すことすら不可能だ。
ただ、母が聴いていた事だけが確かで、それがきっかけだったのだろう。
気がついたら知っていて、気がついたら歌えるようになっていた。
少なくとも9歳の頃には勉強をしながら聴いていた記憶がある。
無論、同年代の友人とキリンジについて語れるものなど一人たりともいなかった。
(そもそも幼い頃のわたしには友人と言える人間などほぼいなかったので、それはさした問題ではなかった。)
あの頃は、みんなの話す速度が早すぎて、会話に加われば完全に置いてけぼりを喰らった。ひたすら聞き取れない。ほとんど異国語に近かった。
あの頃のわたしは周りから見ればきっと異星人だったに違いない。
社会化された今のわたしにとっても、幼い日の自分自身は到底同じ人間とは思われない。
ともあれ、そんな幼く孤独な時分からわたしと共に存在したものの一つがこのキリンジであった。
小学生のころは
47'45"というアルバムがすきだった。とくに、
中学生のころは
スウィートソウルに入っている「愛のcoda」や「ブラインドタッチの織姫」ばかり聴いていた。
高校生のころは、「Ten」や「7」などのちょっと尖ったサウンドに聞き入っていた。今でも好きな曲ばかりだ。
大学に入ってからはもっぱら原点回帰して、「ペーパー・ドライヴァーズ・ミュージック」なんかを聴いてばかりいた。ダンボールの宮殿にはまって呪われたように聴いていたのもこの頃だった。
そして、今。
この頃の楽しみといえば、月に一度帰省した折に、家族3人でキリンジを歌う事だ。暇を持て余した父がギターでキリンジを練習し始めたことがきっかけだった。
「フェイバリット」や「Drifter」なんかを歌うことが多い。
キリンジはクールな歌いぶりがかっこいい。最高にクールだ。
母はいつも文句を言う。
それでもわたしは歌い上げてしまう。
だって、キリンジはわたしを嬉しくさせる。
昔から。
いつでも、何度でも。
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