#14 個人事業主が知っておくべき契約書の基本
こんにちは、kurokoです。「個人事業主が知っておくべき◯◯」シリーズ第4弾は「個人事業主が知っておくべき契約書の基本」です!
契約書といえば、文章は堅苦しいし、読み解くのも一苦労。とっつくにくいので嬉々として読みたい!なんていう人はそういないかなと思います。みなさんの中にも「契約書の締結って面倒だな」「そもそも契約書って必要なのかな?」と思われる方も少なくないのではないでしょうか。
でも、厄介だなぁ…面倒だなぁ…という気持ちから後回しにしたり、クライアントが面倒くさそうにしているからと口頭で仕事を受けてしまうのは危険です。
何もなければいいと思われるかもしれませんが、いつ何時トラブルが降って湧くとも限りません。かくいう私も何度か契約書の重要性を痛感する事態に遭遇しました。ということで今回は、契約書の基本から実際の締結方法、リスク回避のためのポイントを書いていこうと思います。面倒だという気持ちはよく分かるのですが…トラブルを未然に防ぐために、ぜひ備えてほしい知識なので、読んでみてくださいね〜!
そもそも…契約書ってなんだろう?
契約書は、当事者間(個人事業主である私達とクライアント)で合意した内容を文書化し、お互いの権利や義務を明確にするための書類のこと。
「契約書」という名前の書類だけを指すのではなく、取引に関する合意内容が記載されていればそのタイトルは問われません。
契約書を締結するメリットは、トラブルが発生した場合に、記載内容を証拠として活用することができるという点です。たとえば、報酬支払いが滞っていて払ってもらえない、受けた仕事が途中でキャンセルになってしまった、納品後に何度も修正依頼が来てしまう…など、このような問題が発生した場合にも、支払い期日やキャンセル規定、修正発生時の対応についてを契約書に定めていれば、条文を根拠に意見を言いやすくなりますよね。
このように後々トラブルに繋がる可能性がある事項はあらかじめ契約書に盛り込んでおくことで「どういった内容で契約したのか」を双方が確認でき、トラブルを防ぐことに繋がります。
契約書と発注書/発注請書の違いってなんだろう?
個人事業主として仕事をしていると発注書/発注請書という書面に出会うことが多いかもしれません。契約書と発注書には似た役割がありますが、目的や法的効力に異なる点もあるので、下記表をさらっと確認しておきましょう。
ポイント
契約書は法的効力が強く、詳細な取引条件を明記するため、トラブル防止に適しています。
発注書は発注者が仕事や製品の内容を伝えるための書類で、簡易な形で使用されます。
発注請書は受注者が発注内容を確認し、それを承諾した証として使用します。
これら3つは状況に応じて使い分けることで、適切な記録と証拠を残すことができます。
契約書は毎回必ず締結すべき?
私がその質問に答えるなら“YES”です。面倒に感じるのは重々承知ですが…基本的には、新しい取引ごとに契約書を締結するのが望ましいです。
同じ取引先と複数回取引する場合であっても、細かな内容や条件が異なる場合は契約書を作成しておくと安心です。
とはいえ同じような書面を何度も作って捺印をするのは双方に手間がかかりますよね。そんな場合は「包括契約」を結んでおく方法もあります。
「包括契約」には1つの契約書で複数の取引をカバーできるというメリットがあります。ただし、個々の取引内容を詳細に明記しておくことは難しいので、依頼内容は都度書面で提示してもらうことを包括契約書内の条文で定めておき、日々のやり取りは簡単な依頼であっても書面やメールで受け取るなど証跡を残す工夫をすることをおすすめします。
関係値がある程度できている取引先であれば、この方法も選択肢の1つかなと思いますが、新規や取引の頻度が低いクライアントの場合は、やはり取引の内容を都度明記して契約書を締結しておくほうが誤解は防ぎやすいなぁ…と思います。(手間とのトレードなのでどちらがよさそうかはクライアントごと判断するとよいかもしれませんね。)
ちなみに、会社員時代に私が業務委託先パートナーと契約書を締結する場合は、1年間に取引が4件以上見込める場合や複数部署で同一会社に発注するといったケースでは包括契約を締結するようにしていました。
【要チェック!】受注時に確認すべき契約書の重要ポイント
実際に契約を締結をすることになったら相手方からドラフトを入手するかこちらがドラフトを提示するかのいずれかになります。企業との取引の場合はクライアントが雛形を持っている場合が多いので、相手方から契約書を受け取ったときに最低限チェックしてほしいポイントをリストアップしました。
もちろん、ここにない項目についても全文必ず目を通してくださいね!
契約期間:契約の有効期限はいつまでかを確認
業務内容:具体的にどのような仕事をするのか詳細に記載されているか
報酬額:報酬金額と支払い方法、振込手数料の負担はどちらか、支払い期限はいつかを確認
経費負担:経費が発生する場合、負担はどちらかが明記されているか
納期:納品物や成果物の具体内容、納品方法や場所、提出期限
秘密保持:機密情報の取り扱いに関する規定
修正・再提出:成果物の修正回数や条件
キャンセル規定:契約解除時のペナルティやキャンセル料
著作権の扱い:成果物の著作権がどちらに帰属するのか
紛争解決:トラブルが発生した際の解決方法(裁判所や仲裁など)
特に、業務内容と納期(納品物と成果物)、修正・再提出の条件あたりは必ず確認しておきましょう!不明瞭でふんわりした業務内容が書かれているだけという場合、依頼範疇を超えて作業することになってしまったり、成果物の修正回数や条件の記載がなくて何度もやり直しを依頼されてしまうなど、不利益を被る可能性もあるため、確認をするとともに適切な交渉をすることが重要です。(←これ、結構痛い目を見るケース多いです。。。)
契約内容に齟齬があった!?リスク回避のためのアドバイス
ちゃんと契約書に書いていたはずなのに、契約内容の記載の仕方で解釈に齟齬が出てしまうケースもありますよね。トラブルの原因を作らないために以下の方法でリスクを回避しましょう!
事前確認:契約書の全内容を熟読し、不明点は事前に確認する。
修正依頼:納得がいかない箇所があれば、遠慮せず修正を依頼。
専門家の相談:複雑な契約の場合は、弁護士や行政書士に相談もあり。
メールで記録を残す:契約のやり取りは必ずメールなど証拠が残る形で行う。
まとめ
いかがでしたか?一見仕事には関係ないし面倒に思えてしまう契約書ですが、自分の身は自分で守るしかない個人事業主にとっては、安心して仕事をしていくための必須アイテムだと思います。正しく理解して適切に契約締結をし、気持ちよく仕事ができることを祈ってます…!
次回予告
次回は「個人事業主が知っておくべき仕事の管理ツール」について書いてみようと思っています。ではまた〜。