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MKM新カードで遊ぶ【ディミーアミッドレンジ】(スタンダード)

 くろきです。『カルロフ邸殺人事件』リリース後、蒼紅杯に向けて使っていた【ディミーアミッドレンジ】が遊んでいて楽しく気に入ったため、新カードの使用感や有効な使い方を記事にして紹介したいなと思います。

 蒼紅杯では5-2で14位となり賞品をいただくことができ、その後変更を加えたリストでMagic OnlineのStandard ChallengeでTOP8に入ったりと、新カードで遊びながらそれなりに勝つことができて満足でした。


デッキリスト

(2/11 Standard Challenge 時点)

【ディミーアミッドレンジ】はどんなデッキ?

 スタンダードでは【ディミーアミッドレンジ】以外にも、黒の優秀な除去を利用したミッドレンジデッキが様々なバリエーションで存在します。【エスパーミッドレンジ】や【ラクドスミッドレンジ】、【ゴルガリミッドレンジ】などです。

 軸となるクリーチャーやギミックはそれぞれ特色があるものの、《切り崩し》,《喉首狙い》,《大洞窟のコウモリ》などの相手に干渉するカードが共通して採用されており、似通った構造となっています。これら他の黒系ミッドレンジと比べた際の【ディミーアミッドレンジ】の特徴を整理します。

◆特徴①:《ヨーグモスの法務官、ギックス》を強く使える

 他の黒系ミッドレンジと比べたとき、【ディミーアミッドレンジ】の大きな特徴は優秀な1マナ域である《遠眼鏡のセイレーン》を採用し、デッキを軽くまとめることができる点です。《遠眼鏡のセイレーン》は飛行クリーチャーであるため《ヨーグモスの法務官、ギックス》と非常に相性が良く、《ギックス》による優位を築きやすいことが【ディミーアミッドレンジ】の大きな長所です。

 かなり理想的ではありますが、1T目に《遠眼鏡のセイレーン》、2T目に《大洞窟のコウモリ》、3T目に《ギックス》といったような軽いカードによる強力な動きがあるのは魅力的です。

◆特徴②:打ち消し呪文で重い呪文に対抗できる

 これは【エスパーミッドレンジ】にも共通する特徴ですが、青が入っている分、《かき消し》,《軽蔑的な一撃》などの打ち消し呪文を使用することができて全体除去などをはじめとする重い呪文にも対応できます。

 重い呪文に軽いマナで対応できる打ち消し呪文はテンポを取りやすく、ミッドレンジに強い【版図ランプ】のようなデッキに対して有効な立ち回りと言えるでしょう。

 今のスタンダードには《魂の洞窟》があり、打ち消し呪文の立場はやや下がっているものの、《ティシャーナの潮縛り》によってクリーチャーの能力を消して乗り越えることもできます。

◆特徴③:デッキが軽く、長いゲームが少し苦手(だった)

 《遠眼鏡のセイレーン》などの軽いカードを採用して4~5マナの呪文を多くは使用しない【ディミーアミッドレンジ】は、黒系ミッドレンジ同士の対決においてクリーチャーを除去しあう展開になると息切れしやすく、長いゲームがあまり得意ではありませんでした。

 【エスパーミッドレンジ】の《忠義の徳目》や【ラクドスミッドレンジ】の《地質鑑定士》,《嘶くカルノサウルス》のような1枚で盤面を強力にできるカードは少なく、序盤に優位を築けなければ他のミッドレンジに押し負けてしまうのは無理もないことでしょう。

普通に使うだけでカード2枚分になる

 しかし、この弱点は後述の新カード《謎めいた外套》によって軽減されているのです。

新カード:《謎めいた外套

 普通に使っても3/2で護法2、ブロックされない能力を持つクリーチャーとして機能し、2マナで装備品自体を手札に戻す能力によって何度でも再利用ができます。

 【ディミーアミッドレンジ】においては特に以下のポイントが嬉しいです。
・護法2と出し直しによって高い除去耐性のあるクリーチャー。
・計5マナで偽装クリーチャーを増やせて、マナフラッドを受けられる。
・ブロックされない能力で《ギックス》のドローを継続的に行いやすい。
・手札に戻す能力が2マナで、打ち消しと合わせて構えやすい。

 またゲームプランや他のカードと組み合わせた、より具体的な使い方の例を紹介します。

◆使い方①:除去プランのゴール

 こちらが受ける展開になるときは、除去や打ち消しで相手の動きを捌いていく必要が出てきます。除去や打ち消しでの交換を繰り返していったときはお互いに消耗し、こちらもリソースが不足しがちです。しかし《謎めいた外套》が1枚でもあれば、余ったマナで偽装クリーチャーをどんどん増やしていけるので粘った末に有利な盤面を作ることができるでしょう。

◆使い方②:除去構えに対するずらし

 1~2ターン目にクリーチャーを出したときに《ギックス》によるドローを嫌って相手に除去を構えられることは少なくありません。そのような展開であれば《謎めいた外套》の最高の使い時です。
 他にインスタントでのアクションがなければ、相手は除去を軽いクリーチャーに使うか構えたマナを損するかという選択を迫られることになります。

◆使い方③:《アモンケットへの侵攻》を変身させる

 ブロックされない能力と除去耐性を活かして、バトルを攻めることにも向いています。《アモンケットへの侵攻》は守備値が4なので単体のアタックでは落とすことができませんが、《遠眼鏡のセイレーン》や《大洞窟のコウモリ》がいれば1足りない分を補うことができます。
 《謎めいた外套》によって《アモンケットへの侵攻》を攻めたとき、相手は盤面を固めることで変身を防ぐことが難しく、相手に除去を使わせてマナ効率の悪い動きを強要することも狙えるかもしれません。

◆使い方④:《ギックスの命令》でライフレースを制す

 【ディミーアミッドレンジ】は盤面を固めることに秀でているわけではなく、飛行クリーチャーを利用したすれ違いのライフレースの末に勝つというゲームも少なくありません。そのような展開では《ギックスの命令》の一番上の+1カウンター2個と絆魂のモードが活躍します。
 このとき《謎めいた外套》のついた偽装クリーチャーを強化先に選ぶことで除去による裏目を作りづらく、ブロックされない能力によってパワー上昇分がそのままダメージに直結して無駄が少ないです。

◆使う上での注意点

 《謎めいた外套》は除去耐性・後半のリソース獲得といった面で非常に優れているものの、適当に使っても有利を拡大することは難しい性質を持っています。

 例えば、黒系ミッドレンジでよく使用される《分派の説教者》や《策謀の予見者、ラフィーン》,《名もなき都市の歩哨》のようなカードは攻めながらにして手札の質向上や盤面の強化を行います。このような放置するとリソース・盤面の優位を拡大していくカード群は、転がりながら成長する雪玉に例えられることもあります。

 一方で《謎めいた外套》は手札に戻す能力を使って初めてカード2枚分になり、ただ場に出すだけではブロックされないクリーチャーとしての働きをするだけです。上記の雪玉クリーチャーたちとすれ違って殴り合いを仕掛けたときにはどんどん不利になってしまいます。

 ざっくりですが今のミッドレンジ対決では、除去>雪玉クリーチャー>除去に強いカード>除去、といったじゃんけんのような構図ができているように感じられます。《謎めいた外套》をミッドレンジで使うときにはこのことを意識したうえで、除去を多めにデッキを組むのが良さそうです。

新カード:《顔を繕う者、ラザーヴ

 新しい2マナの伝説のクリーチャーです。2/2/3と高水準なサイズを持ちながら、攻撃した際の誘発型能力で墓地を追放しながらリソースを取ったり手掛かりを使って変身できたりと、器用そうな見た目をしています。

 実際に使ってみて良かった点や気になった点を整理します。十分強力なカードであり、今の環境や構築にマッチした2マナクリーチャーだと自分は感じています。

◆良かったところ①:対アグロ性能

 《ラザーヴ》の一番の評価ポイントはサイズの良さで、【ボロス召集】,【赤単】,【バント毒性】のようなアグロデッキに対して2マナ域では比較的優秀なブロッカーになります。また攻撃し始めたときにリソース獲得できるところもよく、除去を使って盤面を整理してからの優位を保ちやすい点が嬉しいです。

◆良かったところ②:全体除去を(それなりに)ケアして動きやすい

 瞬速を持っているわけではないものの、調査を行っていると余ったマナを手掛かりのドローに充てることができるため、全体除去をケアしてクリーチャーを出さないといったプレイを選択しやすいです。

◆気になったところ:序盤は調査が少し難しい

 序盤は墓地にカードがなく、攻撃しているのに調査を行えない場面があるのは少し悲しいです。ただ《アモンケットへの侵攻》を使うデッキであれば能動的に墓地のカードを増やせるのでカバーしやすいと思います。

2マナ域のクリーチャーは何が良い?

 【ディミーアミッドレンジ】の定番2マナクリーチャーといえば《大洞窟のコウモリ》と《フェアリーの黒幕》。

 《フェアリーの黒幕》は《かき消し》と同時に構えることができ、相手の追加ドローを咎める能力が【版図ランプ】の《豆の木をのぼれ》、【エスパーミッドレンジ】の《策謀の予見者、ラフィーン》等に対して有効です。

 しかし、《フェアリーの黒幕》は流行りの【ボロス召集】に対して全く強くない点を問題に感じました。そのため自分では《フェアリーの黒幕》は不採用とし、同じく飛行を持ち《ギックス》の能力を補助しながらもブロッカー性能の高い《帳簿裂き》を好んで使っています。

 《帳簿裂き》の欠点は【版図ランプ】に強くない点です。こちらは打ち消しを構えながら動きがちになり、相手も2アクションを取りにくいデッキであるので謀議の誘発が期待できず、ダメージを稼ぎにくいと感じます。《フェアリーの黒幕》と比べたときの瞬速の有無も大きいです。

 その他《魅惑の悪漢、マルコム》や《運河浚い》を使うリストも見受けられます。ミッドレンジでのルーティングや諜報によるドロー操作は価値が高く、瞬速の有無を重視するにしても様々な選択肢がありそうです。《運河浚い》は自分で使ったことはないので少し使用感が気になっています!

 2マナ域のクリーチャーは《大洞窟のコウモリ》を除いて特別優れていると断言できるものはなく、一長一短に感じたので環境に合わせた選択が必要に思えます。

終わりに

 簡単でしたが、【ディミーアミッドレンジ】で使った新カードの使用感についての記事でした。《謎めいた外套》や《顔を繕う者、ラザーヴ》の使い勝手の良さが少しでも伝わっていれば嬉しく思います。

 スタンダードは新カードによる影響が大きく大会結果などの情報も充実しているので、これからの環境変化を見ていくのがとても楽しみです! 最後までお読みくださりありがとうございました。


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