『エルドレインの森』新カード雑感 (スタン&パイオニア目線)
くろきです。9/8発売の新セット『エルドレインの森』の全カードが公開され、個人的に惹かれたり話題にしたいカードが多かったのでnoteで雑感をまとめようかなと思いました。レガシー以下のフォーマットは知見がなく、モダンにはあまり影響はないのかなと思っているので主にスタン目線、ときどきパイオニア目線です。
公式のカードイメージギャラリーはこちら。
白
《人狐のボディガード》
白のよくある追放除去を持つ3マナクリーチャーです。この類のクリーチャーはアグロデッキには強いものの、除去対象のいないコントロール系デッキには使いづらい弱点を持っていましたが、《人狐のボディガード》は除去から自分のクリーチャー1体を守る役割を持たせることができ、汎用性が高くてメインに入れやすいと感じます。
除去としての性能は昼夜の逆転で2体以上除去できる可能性のある《粗暴な聖戦士》の方が強力に思えますが、瞬速を持つ《人狐のボディガード》を同時に使うことで昼夜のコントロールを行いやすくなります。部族シナジー等を考慮しないのであれば散らして採用するということは十分考えられます。また、瞬速を活かして《エラントとジアーダ》を軸にしたデッキを組んでも《粗暴な聖戦士》と差別化して使えると思います。
《威厳あるバニコーン》
シンプルな2マナクリーチャーですが、他のカードと組み合わせることで、4/4~5/5程度の大きなサイズのクリーチャーとして運用ができそうです。スタンダードでは《婚礼の発表》という1枚でパーマネント最大4つを生み出す強力なカードがあり、この2枚を組み合わせて新しいデッキが生まれないかと期待しています。
《骨化》を使いやすい白単、トークンを並べやすい緑白、カウンターのバックアップができる青白など、様々なカラーリングでこのカードを軸にしたデッキが組めそうなので非常に楽しみです。青白だと《新ファイレクシアへの侵攻》と組み合わせて、トークンでサイズを上げてすぐにバトルを落とす使い方ができたら嬉しいですね。
青
《手練》
再録ですが、パイオニアへの影響が一番わかりやすいのはこのカードだと思います。1マナキャントリップが増えることで【イゼットフェニックス】は明確に選択肢が増えるでしょう。《選択》は見た1枚のカードと未知のカード1枚を選んで手札に加えますが《手練》では見た2枚のカードから1枚を手札に加えられるので、得られる情報量が多い分質の良いドローに思えます。他にもインスタント・ソーサリーの違いやカードを引くかどうか(《ナーセット》の制限や《シェオル》の誘発があるか)に違いがありますが、個人的には《手練》が優先されそうだと考えています。
【イゼットフェニックス】以外にも、コンボ系のデッキでは十分に採用されうると思います。《考慮》や《選択》と異なりソーサリーであることを活かして、アトラクサ系のデッキで《アトラクサ》の誘発で手札に加えられるカードを増やせるかもしれません。
《速足の学び》
いいカードだと思いますし普通に使われるような気がします。スタンダードの【エスパーコントロール】ではメインから《眼識の収集》が使われていますが、環境にアグロやシナジーデッキが多いと貰ったカードを活かせないので、メインで使う軽めのリソースカードとしてはこちらがちょうど良さそうだと感じます。
パイオニアだと《記憶の氾濫》や《多元宇宙の警告》,《時を越えた探索》など青のリソースカードの選択肢も多く、これが特別強力には思えません。3マナと軽いことがこのカードの特徴なので、マナカーブを前に倒せることにバリューが大きく、ドローの質よりも量を重視するタイプのデッキがあれば使われると思います。
《有角の湖鯨》
出来事側が2マナで損しない除去になり、そのまま当事者側がフィニッシャーとなり得るのでコントロール向けの性能に思えます。出来事を使えるタイミングが限定されているため、2マナのカウンターと同時に構えて使うことが難しい点は気がかりです。2ターン目にプレイするよりは4ターン目以降での2アクションで使う、みたいな使い方が主なのかなと想像しています。
出来事側から使うとリソースは増えてることになりますが、6マナのカードを消化するのは大変なので複数枚引いても強みを活かしにくいカードです。スタンダードだと悪くなさそうですが、4枚使うようなカードではなくデッキに入っても2枚程度なんでしょうか。
またパイオニアでは、スタンダードと比べてクリーチャーデッキが軽くて強い傾向があります。除去のタイミングが限定されている点や、ゲームが短くなったときに当事者側の影響力が小さくなる点を重く見て、少し厳しいカードだと考えています。
黒
《鏡に願いを》
協約していれば4マナ以下のカードをタダで唱えられるチューターです。このカードを強く使うためには、①協約のコストを簡単に用意できる、②水増ししたい4マナのキーカードがある、という2つの条件を満たすデッキを作る必要があり、構築の難易度が高そうです。
カードプールの少ないスタンダードでは、協約のコストを用意するのはやや難しく、わざわざデッキから探したいようなカードもほとんどないように感じます。
一方パイオニアでは、4マナ以下で完結するコンボデッキが存在するので楽しみにしています。色も合うので《ドロスの魔神》と《変態変異》を揃えるデッキを考えたいです。他にも《悪魔の契約》と一緒に使ってもきっと楽しいと思います。
《駆け抜け侯の祝福》
軽くて継続的にリソースを取ることができるカードは上手く使えば簡単に勝つことができると考えています。まあ除去に弱いところは気になるんですけど… このカード単体で使うと2マナの《執着的探訪》のような使い勝手に見えますが、①戦闘ダメージを通さなくても良い、②他のカードでオーラをつけていても追加ドローできる、という点が良いところです。
スタンダードなら《呪文書売り》や《悪意ある呪詛術士》など、役割を簡単に用意できるカードと一緒にデッキを組みたいです。
赤
《擬態する歓楽者、ゴドリック》
3/3/3速攻の時点でも強力で、上手く祝祭を達成できれば簡単にライフを詰められる性能を持っています。伝説であるので4枚は使いにくそうですが、スタンダードの赤単の3マナ域としては十分な強さに見えます。
《タルキールへの侵攻》と一緒に使うと裏面のドラゴンシナジーも活用できて面白そうです。《焦熱の交渉人、ヤヤ》も、マナカーブ通りに動きつつ1枚で祝祭を達成できて相性が良いと思います。
《塔の点火》
《炎恵みの稲妻》の上位互換です。スタンダードでは《しつこい負け犬》や《剃刀鞭の人体改造機》を倒すのにちょうど良いですが、協約コストで払えると《デニック》まで追放できるのはちょっと嬉しいです。
緑
《豆の木をのぼれ》
普通に使うとただのキャントリップエンチャントですが、マナコスト5以上の呪文を唱えるたびにアドバンテージを得ることができます。《力線の束縛》との相性が良く、使われるならセットになりそう。スタンダードでは【版図ランプ】、パイオニアでは【奇怪な具現】で採用が検討できると思います。《ヨーリオン》でブリンクしたときに追加でドローできたら楽しそうです。
《野生との遭遇》
軽くてリソースを取れるカードは強い傾向があるので、このカードも破格の性能を持っているように見えます。アドバンテージを取ろうとすると条件が厳しいように感じるかもしれませんが、序盤は単に除去として使っても十分で、マナが伸びた中盤以降ではクリーチャーにアクセスしつつ盤面にも触るという2マナとは思えない効力を発揮します。場が更地の状態でトップしても強く、コントロール相手にも腐らない格闘系の除去と考えると非常に魅力的です。
現時点ではスタンダードで緑中心のクリーチャーデッキを使いたいとはあまり思えませんが、今後のセットで緑の魅力的なクリーチャーが追加されればよく見るカードになりそうです。
パイオニアの【緑単信心】では《収穫祭の襲撃》のハズレが増えてしまう点は気がかりですが、マナが伸びやすくてデッキとの相性自体は良いように思います。システムクリーチャーに触りやすくなるのはデッキの弱点を補う方向での強化に見えるため、採用されても驚かないくらいのカードだと想像しています。
マルチカラー
《煮えたぎるバイパー》
バウンスは基本的にはカードアドバンテージを失ってしまう欠点がありますが、このカードは当事者がついてるので損しておらず適当に使いやすいように思います。カラー的に苦手としている《黙示録、シェオルドレッド》やエンチャントにも一時的に対応できるのは嬉しいです。
バウンスがソーサリーで構える動きとは相性が良くないので、自分から積極的に動くイゼット系のテンポデッキが組めれば活躍させやすいと思います。出来事も当事者も軽いため《帳簿裂き》との相性が良さそうで、スタンダードでは一緒に使うデッキを考えたいです。
《退廃的なドラゴン》
出来事側から使うと当事者含めてカードが3枚増えるので、リソース勝負に非常に強いカードに見えます。奪った相手のカードを唱える際に色マナをきちんと要求される点が注意するポイントで、環境の予想や構築の工夫が求められる面白いカードだと思います。
スタンダードで使うなら《希望の標、チャンドラ》が相性良さそうだと考えています。出来事で貰ったランドを置いていくことで6マナまで伸ばしやすく、チャンドラをプレイできれば+2の能力で自由に色マナを出せるので色の合わない相手のカードでもプレイできるようになります。
その他にもジャンドカラーのデッキにしてマナクリーチャーを採用したり、《セレスタス》のようなマナファクトを採用したり、所謂トライオームをなるべく採用したり…など構築段階で工夫し甲斐がありそうで楽しみです。
土地
《眠らずの尖塔》
今回のミシュラランドサイクルで最も起動が軽く、《漆月魁渡》や《ヴェールのリリアナ》などの軽いPWにプレッシャーをかけやすい点を評価しています。占術もトップ勝負になった際にゲームを有利に進めることができ優秀です。
パイオニアではタップインであることは気になるものの、色拘束の厳しい独創力系のデッキでも採用しやすいバリューランドで、いざという時に《不屈の独創力》や《異形化》の対象にもできるので十分採用を検討されうるカードだと思っています。
終わりに
新カードの雑感は以上です。最後までお読みくださりありがとうございました。全体的に重くて派手なカードが少なく、軽めで取り回しの良さそうなカードがセット全体でも多い印象を受けました。個人的には軽いカードが好きなので、新カードを使ったデッキを考えるのが普段以上に楽しみです。セット発売後は蒼紅杯やジャパンオープンなど、アリーナのスタンダード大会があり、どのようなカードやデッキが結果を残すのか気になりますね。
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