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ノセトラダムスの大予言 解説
「ノセトラダムスの大予言」(註:ノセに傍点)は1998年――僕が29歳のときに書いた短編小説です。
その前年に、小説推理新人賞の最終候補に2年連続で選ばれたり、鮎川哲也先生が監修していた『本格推理』(光文社文庫)に初めて自分の作品が掲載されたり、さらにメフィスト賞の応募をきっかけに講談社の編集者さんと打ち合わせをするようになったりと、もしかしたら作家になれるかもしれないと希望を抱き、4年半勤めた会社を辞めてフリーターを始めた――ちょうどそんな時期に書いた作品であります。
ほとんど記憶に残っていないのですが、作品に添えられたメモ書きを見ると、どうやらこの作品はその年の小説推理新人賞への投稿作だったみたいです。今度こそ新人賞を獲ってやる! と意気込んでいたんでしょうが、世に出ていないということは落選したわけで。今となっては何次予選まで通過したかすら覚えておりません。
小説推理新人賞には高校三年生のときから約10年間、欠かすことなく投稿を続けてきましたが、これ以降、メフィスト賞のみにしぼって作品を書くようになったため、「ノセトラダムスの大予言」が最後の短編投稿作となりました。
小説推理新人賞に投稿した作品の多くは、その後、アイデアをふくらませたうえで、大きく形を変えて、デビュー後に書いた長編の一部分となりましたが、「ノセトラダムスの大予言」は誰にも読まれることなく、これまでずっと古いパソコンの中に眠ったままでした。
デビュー直前に書いた作品というのは、正直、中高生時代に書いた落書きみたいな作品を読まれるよりもさらに恥ずかしいです。でもまあ、このままだと一生誰にも読まれず消えてしまうわけで、それもなんだか可哀そうだと思い、ここにお披露目することにしました。
デビュー前のへたくそな習作ということで、「青くさいなあ」と笑って読んでいただければ幸いです。
以下は当時書いた梗概。
地球最期の日に再会しよう――。
二十年前の春、当時小学生だった野中晶彦とその悪友たちは、彼らが巻き込まれた事件の真相をそれぞれしたためて、タイムカプセルの中へと封印した。
ノストラダムスが予言した地球最後の日に再会することを約束して別れた三人。遠い未来の出来事だとばかり思っていた運命の日がついに訪れ、晶彦は約束を守るため懐かしき小学校へと足を向ける。
二十年前、「ノストラダムスの大予言」が話題となり大騒ぎしていた晶彦たちの前に出現したもう一人の予言者、ノセトラダムス。彼は本物の超能力者だったのか。また二十年前に起こった事件の真犯人は一体、誰だったのか――。
地球最期の日――すべての謎はタイムカプセルと共に掘り返される――。
では、明日からよろしく。