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MAD LIFE 260
18.〈フェザータッチオペレーション〉の正体(4)
1(承前)
「立澤組を憎んでいるのか?」
中部は長崎に尋ねた。
「ああ、もちろんさ」
すぐに答えが返ってくる。
「だったら、我々の手伝いをしてみないか?」
中部は立ち上がると、長崎の顔を真正面から見据えていった。
「……手伝い?」
長崎はきょとんとした表情で中部を見上げる。
「どういうことだ?」
「立澤組を一網打尽にしてやろう」
「……潰すっていうのか?」
「立澤組は麻薬ルートを広げ、一般市民にまで悪魔の粉を売りつけているらしい。このまま放っておいたら大変なことになる。すぐにでも捕まえてやりたい」
「捕まえりゃいいじゃないか」
「残念ながら、奴らの手口は巧妙だ。証拠がない」
中部は奥歯を噛んだ。
「そこで我々はある作戦を進めることになった」
「作戦ってなんだ?」
長崎が身を乗り出す。
「我々に協力するか?」
「話を聞かなきゃなんともいえねえな」
中部は確信した。
長崎は我々の味方になる。
「よし、話してやろう。我々は架空の麻薬密売組織を作ることにした。立澤組はきっと飛びついてくるはずだ」
「そううまくいくかな?」
長崎は鼻を鳴らして笑った。
「おまえの協力があれば大丈夫だ」
「……え?」
長崎は真顔で中部を見つめてくる。
(1986年4月29日執筆)
つづく
この日の1行日記はナシ