MAD LIFE 245
17.再会の日(4)
2(承前)
「明日の朝、大阪へは誰が行くんだ?」
志村が口を挟んだ。
「もちろん、俺は行く」
中部は即座に手を挙げた。
「俺が行かなくちゃ話にならないからな」
「しかし、君が受け渡しの場所に現れるわけにはいかないだろう?」
と金井。
「ああ。奴はたぶん、俺が警察の人間であることを知っているからな」
中部がいう。
「そういうことなら俺も駄目だ」
そう口にしたのは西龍統治だった。
「ああ、そうだな」
横目でちらりと西龍の顔を見て、中部は相槌を打った。
「奴はおまえの顔も知っている。……となると、小池も駄目なわけだ」
「俺もまずい」
金井が立ち上がる。
「俺は刑事だ。もしかしたら顔を知られているかもしれない」
「となると、残りは俺だけか」
志村はにやにやと笑いながら立ち上がった。
「頼むぞ」
中部が志村の肩を叩く。
「で、いつ出発する?」
「明日の朝五時には確実に大阪駅に到着していなくてはならない。そろそろ準備をしておかなくてはな」
中部は腕時計に視線を落としながらいった。
生唾を呑み込む音がどこからか聞こえてくる。
誰もが緊張していた。
3
「なんだって?」
洋樹は大声をあげた。
「今すぐ行くだと?」
(1986年4月14日執筆)
つづく