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アパレルショップ綺羅の事件簿 20
6 〈綺羅〉店内(承前)
遥 「すごい! 名探偵さん、天才だ!」
ほのか 「そうやって説明されれば、なるほどそんな気もしてくるけど、実際うまくいくのかなあ?」
うらら 「では名探偵、星崎うららが実演してみせましょう」
うらら、青マネキンに近づいて右腕を取りはずそうとするが、うまくいかない。
うらら 「あれ? はずれない。……あれ? あれ?」
仁恵 「探偵さん、無理だよ。そのマネキン、腕がはずれるようにはできてないから」
うらら 「(キラに近づき)じゃあ、こっちのマネキンだ! この赤い衣装のマネキンの腕をとりはずして――」
キラ 「え? え? ちょっと待って」
うらら、キラの腕をつかみ引っ張り始める。
キラ 「痛たたたったっ! この人殺し! じゃなくてマネキン殺しーっ!」
仁恵 「わかったわかった、探偵さん。白状するよ。ほのかちゃんのおやつを盗んだのはこのあたし。それでいい?」
うらら 「(キラから手を離し、仁恵に近づき)今の発言は自白ととらえてよろしいですね?」
仁恵 「……はいはい」
うらら 「よっしゃ! これにて事件解決! 一件落着!」
遥 「(拍手しながら)きゃああっ! よっ、名探偵!」
キラは引っ張られた腕を、今にも泣きそうな顔で撫でている。
うらら 「皆様。私がいかに素晴らしい名探偵であるかをSNSで拡散していただければ――」
楓が下手から飛びこんでくる。
楓 「遥、大変大変っ!」
遥 「楓、どうしたの? お腹のほうはもう大丈夫?」
楓 「それどころじゃないの! すごいんだって!」
ほのか 「ええ? そんな大量に出たの? うらやましいなあ。ほのか、ずっと便秘が続いてるから」
楓 「そうじゃなくて! プリ、プリ……」
ほのか 「そうそう。そんな感じでプリプリプリ~って気持ちよく出したいんだけどねえ」
楓 「プリンス晶(あきら)が、目の前の公園でゲリラライブをやってるの!」
遥、ほのか、早紀が驚きの表情を見せる。
遥 「えええええっ?」
ほのか 「プリンス晶って、あのプリンス晶? そっくりさんじゃなくて?」
つづく