宇宙戦艦ヤマト 復活編 29
第9章 さらばマグネ星人(1)
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古代はここへやってくる前に真田から受け取った銃を取り出した。
「変わった形の銃だな」
しかし、ゴーステストに動じる様子はない。
「そんな奇妙な銃で私を殺せるのか?」
古代はなにも答えず、ゴーステストに照準を合わせる。
「私は改造手術を受けている。この肌は鎧よりも硬い。残念ながらどんなレーザービームも跳ね返してしまうぞ」
「……ユキをどうするつもりだ?」
ゴーステストに銃を向けたまま、古代は尋ねた。
「彼女は私と結婚する」
ゴーステストがゆっくりと懐から銃を取り出す。
「このままおとなしくヤマトに帰れ。そうすれば命だけは助けてやろう」
「古代君、いうことを聞いて!」
ユキが叫んだ。
「この人と結婚すれば、地球侵略はとりやめると約束してくれたの。だから――」
「信用できるものか」
古代はそう吐き捨てる。
「ユキ、騙されるな。全部、嘘だ」
「噓ではない。このスイッチがなにかわかるか?」
ゴーステストが鈍色に光るキューブを古代の前に突き出した。
「カックーミサイルの自爆スイッチだ。これを押せばミサイルは消滅する」
「ならば、お前を殺してそのスイッチを奪うまでだ」
「面白いことをいう」
ゴーステストが喉を鳴らして笑う。
「先ほどいったことを忘れたのか? 私の身体は鉄よりも硬い。殺せるものなら殺してみろ」
彼は古代を挑発するように、銃口へ顔を近づけてきた。
「それに、たとえ私を殺せたとしても、地球は救えない」
「……どういうことだ?」
「この自爆スイッチは私の指紋にしか反応しない。センサーは生きているかどうかを判断するから、死んだ私の指を押し当てても無駄だ。つまり、私を殺せば、カックーミサイルは止められないことになるぞ」
ゴーステストは高らかに笑った。
「愚かな地球人よ。さあ、どうする?」
つづく