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MAD LIFE 262
18.〈フェザータッチオペレーション〉の正体(6)
1(承前)
「後悔しているのか?」
中部が訊く。
「わからない。でも、ときどき不安になるんだ。俺はこのままでいいんだろうか? どうして、俺はこうなっちまったんだろう? どこで俺の人生は狂っちまったんだろう? ってな」
感情が昂り、とめどなく言葉があふれ出してくる。
「たぶん、どこかで一本、道を間違えたんだろうな。そして俺はそれに気づかずに――誰もそのことを俺に指摘してくれなくて――だから、こんなところにたどり着いちまったんだ」
「それがイヤなら、元の道に戻ればいい。おまえはまだ引き返せると思うけどな」
中部の言葉が胸に突き刺さる。
「本当にそう思うか?」
「ああ。だって、おまえは自分のあやまちに気づくことができたんだからな」
長崎はしばらくの間黙りこんでいたが、ゆっくりと中部のほうに顔を向け、唇を動かした。
「わかった――協力する」
「本当か?」
「ああ。俺は立澤みたいな卑怯者じゃないからな」
「そして七人の人間が集まったんだ」
中部の話はそこでいったん途切れた。
「七人?」
洋棚は首をひねる。
〈フェザータッチオペレーション〉に侵入したあの日、そこにいたのは五人だった。
残りふたりのうち、ひとりは長崎なのだろうが、もうひとりは誰なのだろう?
洋樹の疑問に中部が答える。
「俺。俺の昔からの親友である刑事――金井昌。〈西龍組〉組長――西龍統治。〈フェザータッチオペレーション〉店主――志村英則。志村は元刑事で俺の上司だった男。〈フェザータッチオペレーション〉を立ち上げたのも彼だ。組織の名は志村の働く喫茶店の名前からつけられた。そして、長崎典和とその部下である小池、黒川。全部で七人だ」
黒川。
洋樹は記憶を探る。
あの日、あの場所にいなかったのは黒川だ。
「我々はまず、〈フェザータッチオペレーション〉という麻薬組織の存在を、立澤組やその周りの麻薬組織にそれとなく知らせる必要があった」
中部は話を続けた。
(1986年5月1日執筆)
つづく
この日の1行日記はナシ