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MAD LIFE 086

6.女の勇気に拍手!(12)

「全員、集まったな」
 西龍統治は皆の顔を見回しながらいった。
「末木が死んだ」
 誰も騒ごうとはしない。
 ただ、殺伐とした空気だけが蔓延していく。
 統治は先を続けた。
「殺ったのは立澤組の奴らに違いねえ」
「立澤組め……汚え手を使いやがって」 
 組員のひとりがそう吐き捨てる。
「明日の朝――」
 統治はそこでいったん言葉を止めた。
 皆はじっと彼の顔を見つめている。
 その瞳は獲物を狙う獣のようにぎらぎらと輝いていた。
 彼らは統治の言葉を期待しながら待っている。
「明日の朝、立澤組に殴りこむ!」
 統治がそう叫ぶと、一気に歓声があがった。
「ぶちのめしてしまえ!」
「立澤組はこれでおしまいだ!」
「戦争だ、戦争だ!」
 皆は口々に好き勝手なことを叫んだ。
 午前〇時。

「末木が死んだ?」
 立澤組組長は眉をひそめた。
「末木といえば、以前、この組にいた男だろう?」
「ええ、そうです」
「なぜ死んだ?」
「殺されたそうです。詳しいことはよくわかりませんが、ナイフで刺されたらしくて――」
 立澤栄は立ち上がった。
「一体、誰の仕業だ?」
「そこまではまだわかっていません」

(1985年11月6日執筆)

つづく

1行日記
1週間ぶりの学校……疲れたぁ~

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