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宇宙戦艦ヤマト 復活編 02
第1章 時の流れ(2)
2
宇宙科学センターの前でひとりの男が立ち止まった。
太陽の光に目を細めながら、古ぼけた建物を見上げる。
「懐かしいわね、古代君」
背後から近づいてきたスーツ姿の女性が、男の肩にふれた。
「なんだよ、ユキ。その呼びかたは」
古代と呼ばれた男が恥ずかしそうに笑う。
「俺たち夫婦なのに、『古代君』はないだろう?」
「だって、そう呼びたくなるじゃない。あの頃みたいに」
古代の横を通り抜け、科学センターの自動ドアをくぐりながらユキはいった。
「なんてたって、二十年ぶりの再会なんだから」
ユキのはしゃぐ気持ちもよくわかる。
彼女のあとを追いかけて、古代も建物の中に入った。
いくつかのドアをくぐり抜け、ふたりは目的地にたどり着いた。
「ああ……」
古代の口から感嘆の声が漏れる。
巨大な倉庫。
そこには海から引きあげられたばかりの宇宙戦艦が、まるでこの場所の主人であるかのようにどっしりと身構えていた。
船体は錆びつき、いたるところが破損している。
もはやスクラップ同然の姿だが、それでも勇ましさはあの頃のままだ。
ヤマト。
二十年前、沖田艦長と共に海底へ沈んだ宇宙戦艦を知らない者はいないだろう。
今の平和な地球はヤマトによってもたらされたものだと断言してよかった。
二週間前、新たに開発された海底調査船が太平洋の底に沈むヤマトを発見。
海上自衛隊の協力を経て、引きあげに成功した。
艦内から沖田艦長の遺体が見つかるのではないかと期待されたが、今のところ、そのような報告はまだ入っていない。
ヤマトの引き上げを祝い、今日、かつてのヤマトの乗組員たちはここで集まることになっていた。
「古代。ひさしぶりだな」
懐かしい声に振り返る。
そこに立っていたのは目尻のしわの数が二十年分増えた真田だった。
続いて徳川もやってくる。
つづく