KUROKEN's Short Story 13
国語の教科書に載っていた星新一の「おーい でてこーい」にいたく感動した中学生のころ。ちょうど〈ショートショートランド〉という雑誌が発刊されたことも重なって、当時の僕はショートショートばかり読みあさっていました。ついには自分でも書きたくなり、高校時代から大学時代にかけて、ノートに書き殴った物語は100編以上。しょせん子供の落書きなので、とても人様に見せられるようなシロモノではないのですが、このまま埋もれさせるのももったいなく思い、なんとかギリギリ小説として成り立っている作品を不定期で(毎日読むのはさすがにつらいと思うので)ご紹介させていただきます。
※中学生のときに書いた作品をいくつか発見しましたので、本日はそちらをご紹介。そのままではまともに読めないシロモノなので、文章にちょっとだけ手を加えております。
バカの順番
ある日突然、アメーバが死に絶えた。
いや、アメーバだけではない。ミジンコ、ミドリムシ、ゾウリムシ……この世界に存在するすべての単細胞生物が絶滅したのだ。
原因不明の異常事態に科学者たちは首をひねるばかり。
翌日からは昆虫が次々と死んでいった。
そして魚、両生類……一か月が過ぎると、爬虫類もこの世から姿を消してしまった。
このままでは地球上からすべての生物が消え失せてしまう。
前代未聞の危機に対処するため、世界中から科学者たちが集まり、対策会議が行われた。
「単細胞生物から多細胞生物……無脊椎動物から脊椎動物……魚類、両生類、爬虫類……進化の度合いが低い生物から順番に滅んでいることは確実だ。原因ははっきりしないが、このままだと次は鳥類が滅びることになる。なんとしても阻止しなければ」
しかし、その願いは空しくも打ち砕かれた。
なぜなら翌日、人類が原因不明のまま絶滅したからである。
(1982年10月執筆)