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黒田研二
2023年12月17日 05:15
15.戻ってきた少年(16)5(承前) アパートの前にひとりの少年が立っていた。 その端正な横顔は、瞳のよく知っている人物だ。「……晃君」 少年のそばに駆け寄る。 晃はゆっくりと瞳のほうを振り返った。「ひさしぶりだな」 照れくさそうに彼はいう。 瞳は晃と気まずく別れたときのことを思い出した。 ――あなたにはなんの罪もないけど、私、以前のようにあなたとつきあうことなんてできない。