もののけ姫
ほんとうに。
ほんとうにきれいだった。
うつくしいものだった。
まもっていきたいなって、おもう。
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寝る前に、ヘッドホンで音楽を聴きながら、今頃泣けてきている。
こんなのはじめてだ、じわじわと実感となって感情が追いついてきた。
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わたしはね、映画館でこれを見たんだ。
私が月に1回くらいしか映画館に行かないのは、お金がないとか、時間がないとかでもあるけど、この空間を日常にして、陳腐化したくないからでもあるんだ。
わたしはね。
映画館で、これを見たんだよ。
観れたんだよ。
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もうほんとうに、ほんとうにうつくしくて。
わたしの中のきれいなもののイデアみたいだった、適切な日本語が思いつかなくてくやしい。
物語がとか、演出がとかじゃなくて、ただうつくしかった。
この作品があるだけで、わたしは日本に生まれたことを誇らしくおもう。愛おしく、大切な肩書として日本人がある。
アニミズム…地霊信仰とか、自然の厳しさとか、山々を切り取ってその中で生きていく人間とか、怪異の描き方とか、すごくすごく。
日本、この国なんだよね。
わたしの生きている、そしてわたしの前の見知らぬ誰かたちが生きていた、この国。
うつくしくて。
音楽を買いたい、手元に置いておきたい。
でもだいじにしたい。
わたしはCDを買ってもビットレート高めに抽出して結局ずっと携帯できくのだけれど、これはCDで買ってそのまま、大事な時に大事にききたい。
聴き流せるものじゃなくて。
これのためにヘッドホンを買いたいよ。
これはそういう映画だ。
久石譲と宮崎駿と、
その2人を支える全ての才能たち、
この映画が配給されてわたしに届くまで、そしてわたし以外の全てに届くまでに、
ありがとう。
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以下雑記:
日本だった。
でも、もっと昔の倭の国だ。
…それより前かな?
女の人があまりにつよくてかっこよくて魅力的で、それでもう泣いちゃった。
人があまりに簡単に死ぬ。
主人公が殺す。
でも、命が軽いわけじゃない。
必死になって助け合い、励まし合い、苦しい中で生きていく。
みんな生きてる。
誰が正しいわけでも悪いわけでもなくて、ただそれぞれにとっての正しさがあるだけ。
それはただの事実であると思うんだけど、でもそれをこんなにきれいに描いているのはひさしぶりにであったよ。きれいだ。
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人間は愚かだ。
愚かだし汚い。
それもまたよく見る言説だし、それに肯かざるをえないとかもまたあるだろう。
この作品でも、人はまた恐ろしかった、こんなものを手に取るなんて、愚かなのではとさえ思った。
でも。
こんな圧倒的な自然を、存在を、力を合わせてでも、どんな手を使ってでも、打ち倒せる存在のどこが愚かなのだろうか?
それはそれでひとつの奇跡であり、偉業だ。
たとえ見目が異形であったとしても。