2024年印象に残った作品①「チト河内 - CHITOTIHC/KULA-kura」
2024年、今年も残りわずか。かつての音楽雑誌や現在ではネットメディアやSNSなどで年間ベストをみかける時期ですが、個人的にはかつてのように新譜はそれほど追わず旧譜を聴く方が圧倒的に多いため、あまりピンとこなく、noteでもそのような振り返りをこれまで殆どしたことありませんでした。
とはいえ、ひさびさにこの一年聴いた音楽を振り返ってみたくなったので、
今年聴いた音楽の中で印象に残った作品をいくつか紹介していきたいと思います。
まず、一つ目の作品はこちら。
ここ数年マイブームとしてCD熱が高まっている中で、一番注目していた作品をついに!入手しました。
1960年代後半、グループサウンズ(GS)ブームの中で「ハプニングス・フォー」という音楽面で一風変わったバンドがいました。
チト河内は、兄のクニ河内(キーボード)とともにこの「ハプニングス・フォー」で、ドラマーとして活動していました。
GSといえば、ギターが中心となるロックバンド形態が一般的なイメージだと思われますが、「ハプニングス・フォー」はギターレスによるキーボード・オルガンを中心とした編成で、GSのそうしたイメージからややはみ出したようなサウンドで、当時流行していたサイケデリックサウンドとともにプログレッシブロックの先駆的なバンドとしても語られています。
その後、チト河内はフォークシンガー小室等が結成した「新六文銭」や、「フラワー・トラヴェリン・バンド」のメンバーらと結成したバンド「トランザム」にてリーダーとして活動、1980年代以降は、沢田研二のバックバンドやTHE BOOMのサポートメンバーほか数多くのミュージシャンやバンドのプロデュースや作編曲、またTVの劇伴やCMなどを手掛けるなど活動していました。
そんな中、1984年にパーカッション・ユニット「CHITOTHIC(チトチック)」を結成、次第に民俗音楽などを取り入れていきインドネシアやボリビアなど海外のミュージシャンのプロデュースも手掛けるようになります。
そうした活動を経て、1993年に自身初のソロ作品としてリリースしたのが、今回紹介する「CHITOTIHC/KULA-kura」です。
80年代以降の活動繋がりであろう細野晴臣、宮沢和史、窪田春男などの参加はやはり注目ですが、先に紹介したソロ活動での集大成的なワールドミュージックやエキゾサウンドはもとより、ニューウェーブ以降のエレクトリックサウンドや、ハウスミュージック、アンビエント・トライバルサウンドなど当時の音楽トレンドを席巻していたダンス・クラブミュージックも大胆に取り入れた内容で、現在80's-90's以降のジャパニーズ・アンビエント、ニューエイジなどが先端的音楽好きの間で注目されている中、今こそ聴かれるべき傑作と思う一枚です。