Adol・Wilburの使い方+調声基礎解説
こんにちは、くろいくろわです。
今回は自作のUTAU音源「Adol・Wilbur」の使い方と調声の基礎的な部分の解説をしていきます。
調声解説の内容は他の音源さんにも活かせるものを目指しましたので、よろしければご活用ください。
※この記事は
UTAU或いはOpenUtauを導入済み
音源、エンジン、プラグインの導入ができる(一度でもしたことがある)
各用語の意味がわかる(なんとなくでも可)
方向けです。全くわからない、これから始めるという方はまずはこちらの記事からどうぞ。
音源配布動画はこちらから。
音源について
Adol・Wilburは1つの音源を「gフラグ」を使って2人分の音源として使用する、連続音1音階の少し変わった音源です。
同じ音源でありながら少し特徴が異なるのでまずはそちらを見ていきます。
Adol
gフラグ推奨範囲:-15~-8
やや掠れたように聞こえる高音。
収録音階(G3)から離れた音域を歌わせることが多いため、エンジンの違いによる出音の差やピッチの揺れに敏感で変化がわかりやすい。
Wilbur
gフラグ推奨範囲:8~15
やや堅めの低音。
収録音階(G3)から近い音域を歌わせることが多いため、ピッチを大げさに揺らしてもAdolに比べて安定した歌い方ができる(ただしUTAUの特性上収録音階より低い音階を歌わせると多少は劣化する)。
つまり、
Adol:表現の違いがわかりやすいが音痴になりやすい
Wilbur:安定しているが堅くなりやすい
という特徴がみられます。本当は追加で収録して多音階化すれば解決するんだけど解釈違いが発生するので上手くいかない
gフラグの範囲はあくまで推奨範囲ですので、もちろん表現方法によってそれ以外の数値に指定してくださって構いません(新しくキャラクターを作る行為は禁止です)。
使い方
特徴を確認したところで、実際に使ってみましょう。
今回は配布動画に合わせてOpenUtauを用いて解説を行いますが、UTAU上でも再現可能です。
今回はみんな大好き「ちょうちょう」を参考に解説します。
1.準備
OpenUtau上でAdol・Wilburが使えるように導入し、設定を連続音向けに変更します。
画像は最低限の採譜まで済んでいる状態です。
一度この状態で再生してみましょう。
筆者はまだgフラグを入力していないこの状態をAdolでもWilburでもない「なにか」と呼んでいます。
設定上2人は元々1人の人間だったので、もしかしたらこの声がそうなのかもしれません。
2.gフラグを変更する
それではこの音声をAdolにします。
OpenUtauの場合、レンダラーによって方法が異なります。
CLASSICの場合
表情のgenderを選択してください。
初めは初期値を-10にすると使いやすくなると思います。
筆者はCLASSICで調声するためこの方法を採用しています。
WORLDLINE-Rの場合
表情のgender(curve)を選択してください。
同じように初期値を-10にすると使いやすいと思います。
出来たら再生してみましょう。
これでAdolとして歌わせる準備が出来ました。
Wilburは同じ手順で初期値を10辺りにすると出現します(歌唱範囲はAdolのオク下推奨)。
同じトラック(UST)上で2人を交互に歌わせる方法
ただのg変ですので、もちろん同トラック(本家UTAUの場合はUST)上でそれぞれ交互に歌わせることも可能です。
右端にある音符のプロパティから選択した音符の設定を一括で変換できます。
基本的な使い方の説明は以上です。
続いて調声について簡単に解説します。
調声基礎
今回のテーマ「表情をつけてみよう」
調声解説!と聞くとなんだか上手くなる術のように聞こえますが、今回はあくまで明るく強く聞こえるようにしたり、逆に暗く弱く聞こえるようにする方法についてだけを考えていきます。
これはAdol・Wilbur以外の音源さんでも通用しますのでよければ最後までご覧ください。
また、今回はタイトルに基礎とあるようにできるだけ手順を少なくした簡単な調声しか行いませんので、苦手意識のある方もぜひ試してみてください。
AdolとWilburでは若干手順などに差異がありますが、大方同じのため今回はAdolで解説を進めていきます。
明るく強くUTAわせてみようその1 エンジン選び
早速Adolを明るく強めに歌わせてみましょう。
まずはエンジンを選びます。
エンジンを変えると声の聞こえ方が変わる、というのは既にご存じかと思いますが一応こちらの記事を紹介させていただきます。
まず筆者が使ってみてAdolに合うと感じたものを列挙します。
resampler
doppeltler
f2resamp
Moresamp(要調声)
この中で今回の条件に合いそうなのはどれでしょうか。
実際に聞き比べてみましょう。
resamplerはノイズが多めですが、元気な雰囲気が出ています。UTAUらしい出音です。
doppeltlerはresamplerより少し落ち着いていて、出音が安定しています。相性が良いと思われます。
f2resampは上2つに比べやや曇ったような出音ですが、こちらも安定しています。しっとりした雰囲気の曲に合いそうです。
Moresamplerはかなり尖った出音ですね。確かに強いですが、耳障りを良くするにはしっかり調声する必要がありそうです。
筆者は今回の「明るく強く」の条件に最も近そうなのはresamplerだと判断しました。
これはあくまで筆者の主観ですので、自分が最も合うと感じたエンジンを選択してください。
明るく強くUTAわせてみようその2 下地作り
エンジンを決めたら次は調声の下地を作っていきます。
今回はおま☆かせ2020というプラグインを使います。
子音速度と、ピッチの初めと終わりの位置を変更しました。
子音速度を上げると発音が引き締まったように聞こえます。
ピッチは音程の変化を調整する部分です。
この曲はテンポがあまり速くないため、本来開始点の位置はもう少し前に置くべきですが、今回の目的はあくまで明るく強く調声することなのであえてこの位置に合わせています。
ここで一度試しに聴いてみましょう。
最初のものと比べてはっきりとした発音になりました。
明るく強くUTAわせてみようその3 アクセントを付けよう
それでは調声の中で最もイメージが強いと思われるピッチを引いてアクセントを付けてみましょう。
今回は複雑な形のものは出てこないので、ピッチを引くのが苦手な方も安心してください。
ピッチを上向きにも引いてみます。
最初に比べてハキハキとした雰囲気になりましたね。
少しシンプルな気がしますが、テーマに沿った歌い方に近づけたかと思います。
同じように暗く弱く歌わせてみましょう。
暗く弱くUTAわせてみようその1 エンジン選び
エンジンはdoppeltlerを選びました。
doppeltlerは息っぽさを出すのが得意なエンジンです。
この特性を利用して調声してみましょう。
暗く弱くUTAわせてみようその2 下地作り
今回も同じくおま☆かせ2020を使いますが、設定を少し変えます。
子音速度を100に、ピッチの変化もゆっくりめにします。
さっきと逆のことをしているというわけです。
次に、語尾ノートを足します。
一度聴いてみましょう。
さっきより柔らかい印象ですね。
暗く弱くUTAわせてみようその3 雰囲気を変えよう
もう少し弱い感じにしたいので、Bフラグの値を変更します。
Bフラグは息っぽさを出すフラグですが、doppeltlerの場合乾いた息のような雰囲気が強くなります。
更に子音速度を弄ってみましょう。
子音速度を下げると発音がもたついたような印象を与えることが出来ます。
こんな感じになりました。
最初に比べて儚い雰囲気になりましたね。
ここからピッチを引いたりビブラートを更に足してもいいですが、今回はここまでにしておきます。
まとめ
以上がAdol・Wilburの使い方と簡易的な表情の付け方の解説となります。
今回ご紹介した調声の方法は個人的な主観に基づくものであり、これが正解というわけではありません。
ご自身が満足いくような調声をやり方を見つけてみてください。
それでは楽しいUTAUライフを。
もっと調声したいあなたへ
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