欧米と日本、なぜ死者数に差がある?(BCGはウソくさい)
中国の武漢で感染爆発・都市封鎖が起きてから何か月も経ち、各国の時系列データがかなり蓄積されてきました。これにより、国ごとの感染の広がり方の違いがかなり見えるようになってきています。
以前にも書きましたが、各国のコロナ死者数を見比べることで被害状況を把握することができます。さらに国ごとの人口の大小を考慮して単位人口あたりの死者数(100万人あたりの死者数)で比較すると、より正確に状況を理解することができます。これをグラフにまとめてみました。
(数値はジョンズ・ホプキンス大学のデータから拾っています)
見てわかる通り、いわゆる欧米諸国で圧倒的な死者数となっており、アジア諸国とは大きな差がついているのがよくわかります。欧米の中では比較的に感染拡大を抑え込んだと言われてるドイツさえも、アジアと比べると大きな被害が出ています。
これは生活習慣・衛生意識による差(マスクの普及率の高さ、食生活、靴を脱ぐ文化など)が大きかったのではないかと言われています。
アジア諸国ではマスクをすることが日常的(たとえば中国や東南アジアの国の人がマスクをして自転車やバイクで通勤する映像はみなさん見たことあると思います)であり、国内の生産量・流通量も多かった。新型コロナウイルス問題が発生して以来、欧米は中国から膨大な量のマスクを輸入するようになったのですが、アジアの国では中国からの輸入に頼らなくともマスク製造企業を国内に持つところも多かったし、各家庭での備蓄や小売店の在庫も多かった。日本でもユニ・チャームなどが国内で製造しており、大幅な増産を続けていますね。
食生活についてですが、これは国民の体形を見ればすぐにわかります。つまり欧米人は太っている人が多いのです。また、実際にコロナウイルスの重症患者を診てきた医療関係者は口をそろえて「重症者は肥満者ばかりだ」と言っているのです。
参考:新型コロナは「肥満大敵」 世界が首を傾げる日本のナゾに迫る
グラフで見るとわかりやすいです、欧米は肥満が多いが、アジア人は圧倒的に肥満者が少ない。
https://ourworldindata.org/obesity#what-share-of-adults-are-obese
それから、アジアで箸を使って食事をするのに対して、欧米ではパンを手で持って食事したりしますよね。あと欧米ではパン屋でもフランスパンとかが包装されていなくて、むきだしのまま買い物袋に入れて帰ったりとか…。日常生活のこんなところにも接触感染の危険性が潜んでいたのだと思います。
「靴」については、これまでにも靴底へのウイルス付着という事例が多く報告されています。
ウイルスが4メートル先にも飛散か 米 CDC専門誌
日本人の感覚だと「靴は汚いもの」であり、靴に触ったあとは手を洗おう、というのが普通の感覚ですが、欧米人の場合は外靴を履いたまま家の中で生活し、ソファでくつろいだりベッドでゴロゴロしてるのだから恐ろしいですね。医学界で言われるゾーニングという考え方では、室内を「清潔エリア」と「不潔エリア」に分けますが、日本の場合は、玄関までを不潔エリア・家の中は清潔エリアとして分離するというのを誰もが日常的に実施しているということなのです。
さすがに欧米人も学習したようで、靴について意識する人が少しずつ出てきているようです。
マスクを着け、靴を脱ぐ。新型コロナでニューヨーカーの習慣に変化
玄関で靴を脱ぐように…コロナから再起、イタリアの「新しい生活様式」
ところが、ここまで書いてきたような衛生意識・生活環境による要因ではなくて、欧米とアジアで死者数の差が出ている原因をBCGワクチンの予防接種に結びつける論説もあります。
こちらのブログにBCG仮説がわかりやすくまとめられているのですが…
この仮説はかなり矛盾が多いと思います。リンク先のブログ記事(および記事内で参照している文献)が書かれた時点から、欧米諸国の死者数がさらに激増してしまったことで、どんどん矛盾が広がってきています。
<1) 集団接種をしたことのない5カ国(ベルギー、イタリー、オランダ、米国、カナダ)の死亡率は極めて高い>
これについては、集団接種をしていたはずのイギリスの死者数がイタリアを超える水準となったことにより説明がつかなくなりました。フランスもBCG接種していたのに死者数がアメリカより多い。
<2) 東京株接種の国の死亡率は極めて低い>
これについては今のところ事実のように見えてしまいますが、東京株を接種していたはずのバングラデシュやフィリピンなどで感染が止まらないままとなっており、死者が増え続ける可能性もあります。もともと東京株を使用している国が少なく、しかもアジア方面の国ばかりなので、あまり論拠にならないように思います。中東のサウジアラビアも東京株ですが、ここも感染者の増加が止まらず死者の発生も続いています。
あと日本でも5月前半だけで多くの方が亡くなっていますね。
<3) ロシア(ソ連)株は日本株に近く、死亡率は低いが、東京株よりは高い>
これについても、ロシアで感染拡大が止まらなくなって死者も増えてきてしまったので説明がつかなくなってきました。
このようなBCG仮説について、メディアでも報じているところはあります
ところが、記事内にあるグラフを見ても、接種終了グループの中にある国の間で死者数がバラバラ、接種を継続している国のグループの中でもたとえばイランだけは死者数が多いんです。
明確な相関関係があると言えるレベルのデータにはなっていないと考えます。さらに、もともとBCGは結核を予防するためのものであり、病原の種類も違うのです