ウィットに富んだ話し?
よくウィットに富んだ話と言いますが、
皆さまは、このウィットという言葉、ご存じでしょうか?
よくよく調べてみると、
ウィットとは、時と状況に合わせて気の利いたことが言える能力と知恵の事を言うそうです。私、皮肉めいた面白い事を指すのかと思ってました。
類義語としては、ユーモアがあり、これは、
人の心を和ませるような、ほのぼのとしたおかしみの事を言うそうです。
加えて、ウィットネスですと「目撃者・証人・証拠」という意味だそうです。 また、「目撃する」「見る」という動詞で使用されることもあるそうです。
まあ、ウィットでもユーモアでも、笑って楽しくなればいいかな、なんて思いながら、話を始めさせて頂きたいと思います。
さて、始めに申し上げておきますが、これは実際に起こった事実に基づく話です。カミに誓って、嘘偽りは御座いません。
それでは、はじまり はじまり~・・・
それは、通学途中である、私鉄 ○○線 ××駅と△△駅の間で起こった出来事でした。
当時高校生だった私は、土曜日の授業を終え、その日は部活も無く、お昼前には帰りの電車に乗っておりました。
車内の人は、まばらであり、座席には数人の学生、主婦、会社員と思しき人などが静かに座っています。
シートに空きはありましたが、自宅までは乗車時間もそれほど長くないので、その日はシートに座らず、つり革につかまって、窓の外の流れる景色をボーっと見ておりました。
途中駅で、快速電車の追い越し待ちの為、私の乗っていた電車は停車し、
しんと静まり帰った車内では、後ろの学生の聴いているヘッドホンから漏れ出るシャンシャンという音だけが響き渡ります。
そこに、ホームから、酔っぱらいと思しき中年男性が、フラフラと乗車してきました。
酔っぱらいは、千鳥足でこちらの方に歩いてきます。
近くまでくると、ツンとする酒の匂いが鼻をつきました。
車内はそれほど混雑している訳でもないのに、なぜか、その酔っぱらいは、私の左隣りのつり革につかまり、いや、つかまるというか、しがみつくと言った方が正しいかもしれません。今にも、眠ってしまいそうな目をしています。
彼の半分以上の体重を、つり革にかけ、しなだれかかるという言葉が適しているでしょうか、時折、身体をくねらせながら、半ばぶら下っている様な状態です。
そうしている間に、ホームの向こうでは快速電車が通過し、こちらの電車も扉が閉まり、ゆっくりと動き始めました。
酔っぱらいのオジサン・・・シート、空いてるのに・・・
酒の匂いが嫌だった私は、車両を移動しようかと考えましたが、
嫌悪感を露骨に出して、オジサンに着いて来られたりしたら嫌だなと思いながら、しばらく我慢していました。
そして、駅を発した電車も、最高スピードに達した頃の事です。
酔っぱらいの正面に座っていた、スーツの会社員と思しき男性が、
こっくり、こっくり、と居眠りを始めました。
居眠り会社員は、頭髪の具合から判断するに、50歳代か、もう少し上か・・・といった所です。
だいぶ少なくなった髪は、サイドに幾分か残っているものの、
頭頂部にはほとんど毛はありません。
一方、つり革につかまった酔っぱらいは、前のめりの体勢になり、まるで、目の前の会社員とシンクロするかの様に、こっくり、こっくりを始めました。(シンクロ率およそ10%)
こっくり、こっくりが段々と激しくなってきた頃、
私は、酔っぱらいの髪が、不自然に動いている事に気付きました。
目の前の会社員に比べ、酔っぱらいの黒々とした豊かな髪の毛は、
よくよく見ると、そう、、、世間一般でいう、ヅラ(かつら) だったのです。
こっくり、こっくりを繰り返す酔っぱらいの動きに併せて、
頭のヅラも、徐々に、そのふり幅が大きくなっていきます。
(シンクロ率およそ40%)
ああ・・・このままじゃ、とれちゃうよ・・・
私の心配をよそに、酔っぱらいと会社員のこっくり・シーソーゲームは、
そのふり幅を増幅させていきます。
(ここで、Mr.Children シーソーゲーム を脳内再生お願いします!)
♪運命のイタズラってやつも考慮して~
酔っぱらいの、振り子運動における、点P(頭部)は、
目の前の会社員のソレと若干のズラ・・・失礼、ズレがありましたが、
音楽的に言えば、対位法における原形と反行形と言うか、
また、リズム的に言えば、3/4拍子と4/4拍子の拍が、数小節毎に一致する感覚といえばよいでしょうか。
時折、お互いの頭の距離が近くなります。
(シンクロ率およそ70%)
そして、それは、二人の頭部の距離が、
一定距離まで近づいた時の事でした。
(シンクロ率???%)
なんと!酔っぱらいオジサンのズラは、
回転しながら、弧を描き落下し、
居眠り会社員のハゲ頭に見事、スポっ!!
Just fit !!
しかも、居眠り会社員は、ズラが自分の頭にハマった事に
気付いていません!!
もちろん、酔っぱらいも、ヅラが取れた事に気付いていません!!
何だ!この画ヅラは!!!
あまりの奇跡的な出来事に驚愕した直後、
我慢できそうにもない、爆発的な笑いが込み上げてきます。
誰かこの奇跡を目撃(ウィットネス)している人は居ないのか!と、
周囲に目をやると、同じ光景を見ていた別の会社員がおりましたが、
非情な事に、目を合わせてくれません!
彼も、必死に笑いを引き延ばしている模様・・・
我慢も限界に達した頃、幸運にも、電車は私の最寄り駅に到着し、
扉が開いたので、私はその場を逃げ出す様に、走り去りました。
当然ながら、その顛末は知る由もありませんが、
居眠り会社員が、どうやって、酔っぱらいにヅラを返したのか、、、
少々気になるところです。いや、かなり気になるな。
以上、信じられないけど、本当にあったミラクルな出来事でした。
話の内容的には、ウィットよりもユーモアに分類される話かと思いますが、
何せ、ヅラの話なので・・・
ウィックが飛んだ話し もとい
ウィットに富んだ話し とさせて頂きます。
いや~、字数オーバーです💦
ズラズラと書きましたが、私も年々寂しくなる頭部に
心配を隠せない、、、そんなオジサンでした(;^ω^)
お読み頂き有難う御座いました。