botter記(22-12-16) あの草コイナーと私

師走ですね。皆様いかがお過ごしでしょうか。本稿では先月11月と、今年の総括を簡単にしようかと思います。

12月というとボッター界隈ではAdvent Calendarの時期です。カレンダー2がそこそこ空いていたので16日目にひっそりと潜り込まさせていただきました。淡々と私事を振り返っているだけです。末席を汚させて頂いているだけです。

11月といえばあれですね。まあもうみんな飽きたと思うけれど、一応この件について触れなければなりません。

FTX破綻

私はグローバル版の利用者だったのでかなり被弾しました。不幸中の幸いと言いますか、結果的にではありますが、入っていた資産の半分ほどは逃がすことができたので、腕一本と足一本くらい持っていかれた状態で一命をとりとめました。錬金術は危険なのでbotは辞めた方がいい。

しかしまさかあのSBFが史上最大の草コイナーだったとは!いや冷静に考えると草コイナーだったのは周知の事実だったわけですが、やはり草コインは草コインだったということです。草コインを信じてはいけない。信じるものは嵌められる。そう、初めからここはそういう場所で、これからもきっとそういう場所なんだね、このクリプトFXという世界は。やれやれ。

11月のメイカー

さて、破綻の件はそれとしまして、11月の頭はFTXにてたくさんMMを作っていました。なんとなくメイカーで突き抜けたいなと思い、7個か8個ほど短期間で拵えていました。この数にはパラメータ違いを含めておらず、ロジック部分でちょっとずつ違っており、頻度もばらばらですが、最速を競う感じではなかったです。一番速いのでもざっくり0.5秒サイクルくらい。

そのうちの一つは既に結果が出そうだったのでロットだけ増やし、もう一つ手応えがあったものをしばらく育てていくかーと思っていた矢先の破綻でした。他6個はあっさり没になりました。ボット開発なんてそんなものですね。

基本的なボットの構成はPythonのサーバーサイドライブラリであるbottleでPythonアプリを作りMLを走らせ、Nodejsで作ったメインボットとRESTでやり取りしていました。切り分けた理由は単純で、Nodejsでの開発のほうが私は速いからです。

また、これはMMに限りませんが、マイクロアーキテクチャ的な作りにしておけば流用も効いたので、基本的には部品を組み合わせていくような作りにしていました。

今年なにをやったか

簡潔に今年の振り返りをしたいと思います。ボットの収益源はほぼ100%、FTXとSolanaからでした。Atomic arb全力勢では全然なくて、強いて言うならくりぷとべあーさんと近い戦い方でした。私の記憶が確かなら、べあーさんとはSolanaボットの仕様についてちょっとしたディスカッションをしたこともありました。

一応TypescriptとNodejsが専門だったので、私の場合はあちこちのSDK(プロトコルとプログラミングでやり取りするための手助けをしてくれるライブラリ群。各プロジェクトが提供しているのでクオリティはまちまち)を触っており、その中から歪みそうなやつであるとか自動で動かすと利益が出せそうなものをがちゃがちゃしていました。

以下、地味に勝てたものをいくつか紹介します。

Mango(DexでCexみたいなことが出来るサービス)やFTXとFrancium(基本的にはファーミングプロトコルだが、レバレッジをかけれたりレンディングがあったりする)の間で金利差があった場合USDCベースで貸し借りして取ったりしました。要するにMangoでRayを借りてFranciumで貸す、などです。

トレードらしいものだとFranciumの変なペアでポジションを持ったりもしました。ただしこれもSolanaらしいペアと言いますか、ぶりぶりトークン系に対してロング・ショートを決めれるような形でした。これはそこまで儲かりませんでしたが、理論は正しかったはず。

Drift(DexでPerp取引ができるプロトコル。板ではなく取引所とやり取りする仕様)というプロジェクトはFRが美味しかったので、これもいただきました。が、過去記事で触れました通り、結果的にDriftが潰れて資金を持っていかれたので、ここでの利益はほとんどなくなってしまいました。まあクリプトなんてこんなもんですね。

SOLEND(レンディングプロトコル)で資金ぐるぐるもやりました。貸したものをさらに借りて、それを貸して…という作業を続けてレバレッジをかけることができました。これもちょっと儲かったのですが、LUNAショック以降は市況の雰囲気がより悪くなっており、リスク回避を優先してレンディングを利用した金利取り系は概ね辞めました。

FTX単体でいうとGSTの先物が出たときは限月でショート、無期限でロングしました。簡単なスクリプトを書いて、少しずつポジションを組みました。FRでほくほくでした。時間がなくてステータスを細かく確認できなくなったので早めに閉じてしまいましたが、もう少し引っ張れたかなとは思います。

他にもデルニューステーブルの歪みを取るボットと、それに連なる大技(資金があったらぶち抜けるやつ)も考えていたのですが、そちらはMangoが死んでしまったのもあってお蔵入りです。

Githubを眺めると、そこそこ作り込んでいた開発途中のボットの残骸がいくつか残っており、もし今年もっと開発時間を取っていれば億はあっただろうなーと思いますが、一方で普通に働いていたら絶対無理だった時間の使い方が出来たのは良かったなと思います。収益に関してはATHはそこそこ良いところまで行ったのですが、そこから前述のDriftとFTXの破綻をがっつりくらってしまったため、残念ながら期待よりかなり控えめな収益となりました。

ちなみに2021年のことになりますが、一番最初に触ったSDKはOrcaでした。最初は手動でOrcaのスワップとSerumで鞘取りが成立すると気づいたのが、Solanaにしっかり踏み込むきっかけとなりました。手動だと成功確率も高くないし利益も小さかったのですが、上手くコードにすればそれなりに取れるだろうと確信しました。Orcaも探ってみるといろいろあるプロジェクトで、老舗にして奥が深いプロジェクトでしたね。

さて、今年の収益に関しては期待していたほどは伸びなかった、というのが本音の総括なのですが、より本質的な問題として、上述の通り基盤がFTXとSolanaだったため、現在はすっかり武器が無くなってしまいました。マーケットの状況も芳しく無く、先行者の牙城を切り崩して毎月A級で安定できるようなアイデアがすぐには出てこないので、(たぶん)来月にはいったん兼業に戻ろうと思っています。

先行投資と考えて専業を続けるという手もあったのですが、リスクを抑えるということで身の回りを固めるところからやり直そうと思っています。今は冬季休暇中です。というか寒くなってきて子供が持ち帰ってくる病原菌がパーティしているのでだいたい死んでます。なんなら今現在コロナかもしれませんがもう検査推奨もされていないので、あえて見ないことにしています。

来年の抱負

今年は専業ということで利益が出そうなところだけを攻めましたが、研究的な形でもう少しやりたいこともあったので、兼業に戻り生活基盤が安定した暁にはそちらをもう一度やり直したいと思っています。

このbotter記ですが、専業生活の振り返りとして書き始めたものでしたので、今後は定期というよりはたまに書く程度になるかと思いますが、何かしらアウトプットは続けたいなと考えています。

今年は辛い一年になった方も多いかと思います。しかしまたチャンスはやってくるはず。変化できるものが生き残るのは世の常であります。きたる日に備えて、また少しずつ積み上げていきたいと思います。

皆様に幸多からんことを。

Merry Christmas and Happy New Year!

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