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心の扉を開いて(池田瑛紗_後編)

それから数日後、二人はまたカフェで会うことになった。瑛紗は少しずつ〇〇に心を開き、二人の距離は確実に縮まっていった。彼との会話はいつも楽しく、彼女の心の重荷が軽くなるようだった。

瑛紗「ねぇ、〇〇先輩…前、いつか話せるかもしれませんって言ったこと覚えてますか?私、、、〇〇先輩なら話せるかもしれません。」

〇〇は少し驚いた顔を見せたが、静かに柔らかい笑顔でうなずいた。

瑛紗「私、昔友達に裏切られたことがあって、それから男性と接するのがずっと怖かったんです」

といい、その当時のことをポツリポツリと話し始めた。

原因は、彼女の友達が自分の好きな人が瑛紗に惹かれていると誤解し、瑛紗に嫉妬したことだった。その友達は「瑛紗が私の好きな人をそそのかしたんでしょ」と瑛紗を非難し、周りの友達と一緒に彼女を責め立てた。

実際には、瑛紗は何もしていなかったが、その友達の言葉は彼女の心に深く刺さり、以来、誰かと親密になること、特に男性との付き合いを避けるようになってしまった。

カフェに流れる静かな時間の中で、〇〇は彼女の言葉に耳を傾け、真剣な目で見つめながら答えた。

〇〇「そうだったんだ。辛かったよね。でも、瑛紗ちゃんはすごく強いと思う。そんな経験を乗り越えて、今ここにいるんだから。これからは、俺がそばにいるからね」

その言葉に、瑛紗の心は一気に軽くなった。涙が滲んで、彼の優しさが胸に染み渡った。

瑛紗「ありがとう、〇〇先輩…」

瑛紗は彼の手をそっと握り返し、心から感謝の気持ちを伝えた。それから二人は、まるで恋人同士のように過ごすようになった。デートの度に、彼女は彼に甘えるようになり、次第に彼の存在が自分にとって欠かせないものになっていった。

ある日、二人は映画を見に行き、その帰り道に公園でベンチに座っていた。夕暮れ時の穏やかな時間、瑛紗は〇〇に向かってそっと呟いた。

瑛紗「〇〇先輩、私、先輩のことが本当に好きです…」

その言葉を言い終える前に、瑛紗は彼の頬に軽くキスをした。彼の驚いた顔を見ると、彼女は可笑しくなって微笑んだ。

瑛紗「驚かせちゃってごめんなさい、でも、もっとしたくなっちゃった」

瑛紗はさらに彼に近づき、もう一度キスをした。彼はそんな彼女の積極的な振る舞いに驚きながらも、自分にそこまで気を許して信頼してくれていることが嬉しくて、彼女を優しく抱きしめた。

〇〇「俺も、瑛紗ちゃんのこと大好きだよ」

優しく抱きしめられた彼の腕の中で、瑛紗の胸はドキドキと高鳴った。彼の腕の中で感じる温かな安心感は、過去の痛みをすべて忘れさせるようなものであった。二人はしばらくそのまま静かに寄り添いながら、互いの温もりを感じていた。

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