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先輩のこと、好きになってもいいですか?(一ノ瀬美空_前編)

一ノ瀬美空は、学校でも人気のある先輩であり、同じ吹奏楽部でフルートを担当していた。〇〇にとって、彼女はいつも優しく、まるで姉のように接してくれる存在だった。

しかし、彼にとってそれは同時に悔しくもあった。美空に弟のように扱われ、男として見てもらえないことが心に引っかかっていた。

美空は、しばしば〇〇の頭を撫でたり、優しい言葉をかけたりする。彼の奏でる音楽を褒めては、無邪気な笑顔を浮かべるが、それが〇〇にとっては甘くも苦い瞬間だった。

美空「〇〇くん、今日もいい音出てたじゃん!やるね〜!このこの〜」

と言いながら、楽しそうに俺の顔をツンツンしてくる。

〇〇「ちょっと、美空先輩、やめてくださいよ。」

そう言いつつ、彼女に触れられるたび、心臓が高鳴るのがわかる。同時に、少しだけ胸が締めつけられた。俺って、先輩にとってただの可愛い後輩でしかないのかな?その答えを知りたかった。

________

そんなある日、〇〇は思い切って美空をデートに誘ってみた。学校の帰り道、部活の後、いつも通り二人で帰る途中に、意を決して尋ねた。

〇〇「先輩、今度の週末、少し時間ありますか?」

美空は不思議そうな顔をしながら、少し考え込んだ。

美空「うーん、特に予定はないけど…どうしたの?」

〇〇「よかったら、一緒に出かけませんか?デートみたいな感じで。」

〇〇の心臓は緊張で爆発しそうだったが、何とか言葉にして伝えることができた。美空は一瞬驚いた顔をしたものの、すぐに笑顔を浮かべて頷いた。

美空「え、デート?〇〇君から誘ってくれるなんて可愛いとこあるじゃん。ふふっ、面白そうだし、いいよ!じゃあ、行こっか。」

彼女はデートを承諾してくれたが、どうやら彼を異性として意識しているわけではないらしい。ただの後輩とのお出かけ、という認識のようだった。

――これじゃダメだ、もっと男らしいところを見せなきゃ。

そう思った〇〇は、姉の史緒里に相談することにした。彼は自分に自信を持ちたい一心で、デートに向けて変身を図るのだ。

週末、史緒里と一緒にアウトレットモールへと向かうことになった。彼女はファッションや香水に詳しく、何よりも頼れる存在だ。史緒里は弟の相談を聞くと、すぐに的確なアドバイスをくれた。

史緒里「髪型、ちょっと変えた方がいいね。今のままだとやっぱり学生っぽさが出ちゃう。もう少し大人っぽくしなさい。服も、普段のカジュアルすぎるのじゃなくて、少しフォーマルな感じがいいかもね。それと、香水はこれ。あんまり強すぎない、でも男らしい香りだからおすすめだよ。」

史緒里の助言を受けて、〇〇は髪型を変え、服装もシンプルながらスタイリッシュなものに一新した。そして、ほのかに香る香水をつけ、気分は一気に高まった。これなら、美空先輩に少しは男らしく見てもらえるはずだ。

ところが、そんな彼の姿を、美空がアウトレットモールで偶然見かけていた。〇〇は姉と親しげに歩いており、それが美空の目には、まるで彼が他の女の子とデートしているように映ったのだ。

美空「……え、あの綺麗な女の人、誰?」

彼女はその場で立ち止まり、胸がぎゅっと締め付けられる感覚を覚えた。これまで感じたことのない感情だった。

ー自分だけの可愛い弟のように感じていたはずの後輩の〇〇が他の女の人に取られるかもしれないー

その考えが頭をよぎり、美空は心の奥底で〇〇への独占欲がふつふつと沸き上がるのを感じていた。

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