遠くの空を見上げて(黒見明香_後編)
休日の朝、黒見明香は鏡の前で服を選んでいた。今日は〇〇とランチに行く約束をしている日。普段は仕事の関係でしか会わない彼とのプライベートな時間に、彼女は少し緊張していた。
明香「どんな服がいいんだろう…」
明香は、クローゼットを眺めながら、自分が〇〇にどう見られたいのかを考えていた。彼に可愛いと思われたい気持ちが強く、普段の仕事服とは違う、清楚でお嬢様風のワンピースを選んでみる。
シンプルだけれど、上品さが漂う白いワンピースに、柔らかなカーディガンを合わせ、髪型も少しアレンジしてみた。
明香「これで大丈夫かな…」
明香は少し不安そうに鏡に映る自分の姿を見つめた。いつもとは違う自分を〇〇にどう見られるのか、期待と不安が入り混じっていた。
そして、〇〇との待ち合わせの時間が近づき、明香は少し早めに家を出た。彼とのランチを楽しみにしている自分を感じつつ、心の中ではまだ少し緊張が残っていた。
カフェに到着すると、〇〇はすでに外で待っていた。彼が明香に気づくと、一瞬驚いた表情を浮かべた後、笑顔で手を振った。
〇〇「おはよう、明香。なんか、今日はいつもと雰囲気が違うね。」
〇〇は少し照れくさそうに言った。
明香「そうかな…普段とは違う感じにしてみたんだけど、、、どうかな?」
明香は、内心の緊張を隠しながらも、〇〇の反応を気にしていた。
〇〇「すごく似合ってるよ。なんか、すごく可愛いっていうか、上品な感じで…見とれちゃった。」
〇〇は正直にそう伝えた。その言葉に、明香は顔が少し赤くなるのを感じた。
明香「ありがとう、今日は特別な日だから、少し頑張ってみたんだ。」
彼女は少し照れながらも、嬉しそうに微笑んだ。二人はカフェの中に入り、窓際の席に座った。注文を済ませた後、ゆっくりとした会話を楽しんだ。
〇〇は、明香がいつも以上に可愛らしく見えることに気づきながらも、そのことを言葉にするのが少し恥ずかしかった。
〇〇「明香って、こういう服もすごく似合うんだね。いつも制服姿しか見てなかったから、新鮮だよ。」
〇〇はリラックスした声でそう言った。
明香「普段は仕事の関係でしか会わないもんね。でも、今日はこうやってプライベートで話せて、なんか新しい一面を見せられた気がするよ。」
明香も、〇〇の言葉に安心して、自然と会話が弾んだ。二人の間には、これまでとは違う、少しだけ特別な雰囲気が漂っていた。
明香は、自分が〇〇にどう見られているのかを気にしつつも、彼と過ごす時間が心地よいものであることを実感していた。
カフェでの時間が過ぎていく中で、二人はお互いのことをさらに深く知るようになり、明香の中で〇〇に対する気持ちがますます強くなっていった。
しかし、その気持ちをどうやって伝えるべきか、彼女はまだ答えを見つけられずにいた。
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ランチの後、二人はカフェを出て駅までの道をゆっくりと歩いていた。
明香は、〇〇と過ごした時間があまりにも心地よく、自然と次のことを考えてしまっていた。彼の何気ない言葉や仕草が、いつも以上に特別に感じられた。
明香「今日は本当に楽しかったね。また、こうやって出かけられたらいいな。」
明香が少し照れくさそうに言った。
〇〇「うん、俺もそう思うよ。またどこかに行こう。明香といると、いつも新しい発見があるからさ。」
〇〇は柔らかい笑顔を見せながら答えた。
その言葉に、明香の心はさらに揺れ動いた。彼といる時間がこんなにも楽しく、そして特別なものになりつつあることを感じていた。
しかし、同時に今の関係が変わることへの不安も募っていた。
家に帰った後も、明香は彼とのランチのことを思い返していた。彼の笑顔、何気ない会話、そして自分を可愛いと褒めてくれた言葉が、何度も頭の中で反芻していた。
明香「私、このままじゃダメだ…」
明香は心の中でそう呟いた。友達としての関係を守ることも大切だけど、今の自分の気持ちを無視することはできなかった。
明香「でも、告白してもし断られたら…」
そんな考えが頭をよぎるたびに、彼とのこれまでの関係が壊れることを恐れる自分がいた。
その夜、明香は何度も考えた末に、ついに決意した。自分の気持ちを彼に伝えることで、たとえ結果がどうであれ、一歩を踏み出すべきだと。
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翌日、明香は意を決して〇〇にメッセージを送った。
明香「少し話したいことがあるんだけど、今夜時間あるかな?」
すぐに返事があり、二人は仕事終わりに会うことになった。
約束の場所は、二人がよく仕事の後に立ち寄る空港近くの公園だった。
夕方、空がオレンジ色に染まる中、明香は少し緊張しながら〇〇を待っていた。やがて彼が現れ、その姿を見ると少しだけ安心感が広がった。
明香「ごめんね、急に呼び出して。」
明香は少し笑顔を浮かべながら言った。
〇〇「いや、大丈夫だよ。どうしたの?」
〇〇は優しい声で尋ねた。明香は深呼吸をし、心を落ち着かせようとした。そして、彼に向かって真剣な眼差しを向けた。
明香「〇〇…昨日のランチ、本当に楽しかった。〇〇と一緒に過ごす時間が、私にとって特別なんだって改めて感じたの。でも、それだけじゃなくて…ずっと、〇〇に伝えたかったことがあるの。」
明香は少し間を置いてから続けた。
明香「私、〇〇のことを友達以上に感じてる。ずっと前からそう思ってたけど、昨日一緒にいて、もう気持ちを隠してるのが辛くなった。」
彼女は勇気を振り絞り、続けた。
明香「だから、伝えさせてほしい。私、〇〇のことが好きです。」
彼女の声は少し震えていたが、その目はしっかりと〇〇を見つめていた。明香は自分の言葉が彼にどう伝わるかを不安に思いながらも、心の中でその瞬間が永遠のように感じられた。
〇〇は一瞬驚いた表情を浮かべたが、すぐに真剣な顔つきになった。
〇〇「明香…正直、驚いてる。でも、同じくらい嬉しいよ。」
彼は一度言葉を切り、次に続けた。
〇〇「俺も、ずっと明香のことを特別だと思ってた。でも、友達としての関係が大事で、気持ちを伝えるのが怖かったんだ。」
彼は少し照れくさそうに笑いながら言葉を続けた。
〇〇「でも、今こうして君から言ってもらえて、本当に嬉しい。俺もずっと君のことが好きだったんだ。」
その言葉に、明香は胸が熱くなるのを感じた。〇〇が同じ気持ちでいてくれたことが、彼女にとって何よりも嬉しかった。
明香「本当に…嬉しい。」
明香は、喜びと安堵が一気に押し寄せ、涙がこぼれそうになるのを感じた。〇〇は少し笑って、
〇〇「これからは、お互いにもっと素直にいこう。俺もずっと、そうしたかったから。」
と言いながら、明香の手を優しく握った。明香はその言葉に頷きながら、
明香「これからも、ずっと一緒にいたい。〇〇となら、もっとたくさんの思い出を作っていきたいな。」
と素直な気持ちを伝えた。
〇〇「俺も同じだよ、明香。一緒にたくさんのことを乗り越えていこう。」
〇〇は彼女を見つめながら答えた。二人はそのまま、手を繋ぎながら公園を歩き続けた。
これまでの関係が新しい一歩を踏み出し、これからの未来に対する期待と希望が胸の中で膨らんでいった。空には星が瞬き始め、二人の未来を優しく照らしていた。その光の中で、二人は新たな道を歩き始めたのだった。