【トンデモ体験記②】ハサル液…「コロナに効く」「癌が治る」という薬機法への挑戦? 電話をかけ、実験もしました
前回(こちら)からの続き。
ついに愛しのインチキチキチキなハサル液が我が手中に……。
このトンデモ案件、はっきり言って怖すぎる。そんじょそこらの宗教団体信者が拝みながら5万円ぐらいで買ってしまう高い水とはちょっと性質が違う怖さがあるのだ。
液体を配っているAKI氏なるアカウントは、「コロナに感染した知人たち何人もがスプレーしたら一日で治った」「ホーキング博士が死に至るまで愛用していた」だとか現在進行形で次々に与太話を繰り出している。
そんな何でもござれのゴンザレスな液体が、「情報弱者」と言ったら気の毒だけども、実際に何らかに苦しむ人達の治療目的に使われてしまっているというのだから……。
ここまで自信満々に大ボラを吹かれると…もとい、大ボラを吹かれると(もとるのやめた)いろいろ興味をひかれ、私も試さずにはいられないとなった訳で。せっかく苦労して手に入れたこのハサル液。ここはひとまず、分析しようと試みたのである。
■| 分析のため電話で確認
科学の知識がない私にできるのは、専門家に調べてもらうこと。色んなところを探して電話をかけまくることのみだ。手始めに、水質検査を請け負っているという研究施設へTELをしてみることにした。
ドキドキ。スマホを持つ手が震えちゃう。ハサル液を使えばこの震えすらも抑えられるのだろうか、とか頭によぎる。ごめん嘘。今考えた。
・・・・・
黒猫「もしもし。ライターをしております黒猫ドラネコと申します。ハサル液というものを配っている人がいまして、見た目はただの無色透明な液体ですけど、分析をお願いしたいのです。コロナに効くとか、飲めばいいとかスプレーでシュッシュしろとか言っていまして」
職員さん1「はあ……。少々お待ちください。(電話越しにかすかに聞こえる→) ……なんかコロナに効くとか言…、ちょっと分から… クロネコがどうの…… たぶん何か業者…… …さんに回しとく? …いや、私もよく分からな…」
黒猫「(早くも後悔して半泣き状態)」
職員さん2「…もしもし、代わりました。あの、そういう営業の方ですか?」
黒猫「いや! 違うんです! 私が言ってるんじゃなくて、その液体を配っている人がいて」
職員さん2「配っている…? それは駅前とかで…?」
黒猫「いえ、ネット上で! 飲むとガン患者が治ったらしいのです。コロナにも効果があると」
職員さん2「そんな胡散臭いもの……配って大丈夫なんですか」
黒猫「いや、それはこっちが聞きたくてですね(逃げ出したい)」
職員さん2「その、ハッスル剤とかいう薬品を分析したいと?」
黒猫「…ハサル液です、はい。見た目は水のようで、薬品なのかどうかもちょっと……。ひとまずは水質分析なのかなと」
職員さん2「うーん…大体目星をつけて、この成分とこの成分を検出できるかとかなら調べられるのですが、やみくもに検査項目が増えるとそれだけ方法も異なります。料金の方も高くなってしまいますよ」
黒猫「およそでいいんですが、全部やるとしたらどのぐらいに?」
職員さん2「ちょっと見てみますね。……十数項目ぐらいで三十万円ぐらいは」
黒猫「さ、さんじゅう!? ちょっと興味を持ってインチキっぽい液体を調べようとしたら、さんじゅうまんえん!?」
・・・・・
と、まあ頑張って他にもいくつかの検査機関に連絡をしてみたところ、やはりどこも同じだった。詳細に分析すると高額になってしまうらしい。ああ残念だ。さすがに自腹で出せるほどの額ではない。
そんなことをして、満を持して社会派ユーチューバーとして「ハサル液を自腹で分析!成分は!?学校行かなくてもええで!」みたいな動画を公開したところで、後ろ髪に反比例して視聴者数は伸び悩んだあげく、「黒猫ドラネコのYouTube再生数ワロタ」とか言われてしまった日にはメンタルをやられて枕を濡らすハメになる。そもそもユーチューバーでもない。
そこまで金をつぎ込んでもなあ……。諦めようか…。
■| 二つの道。まず自ら実験
だがしかし!
ここで黒猫ドラネコに電流走る……っ!
こんな謎の液体の在庫を抱えてしまったこの絶望的状況(自分で欲しがったんだろ)から、起死回生、乾坤一擲、相思相殺の「二つの道筋」を思いついたのだ。
自分も楽しんだ後、さらに自腹も切らず調査をする方法があるではないか。この調査結果は、なにも私自身の手によって世間に公表されなきゃいけない理由はない(意味深)。
それはおいといて、とりあえず、まずは一つ目の道から。
もう開き直って、めいっぱい遊ぶことだ。
みんな昔は子どもだった。ハサル液を配っているあのAKI氏とかいうおっちゃんだって(あ、言うてもうた)おっちゃんと懇意だとかいう謎のハサル理事長さんだって、みんな昔は無邪気な子どもだった。それが今ではネット社会の闇みたいなことになっt
いや、ま、いいのよそれは。しゃーない。生きていくためだもん。みんなみんな何かしらで稼いでいかねばならんのよ。
…ていうか、稼ぐんじゃなくて本当に無償で配ってたんだよなあハサル液。マジでなんなんだろう。薄気味悪すぎないか。
てな感じで、Amazonで買いましたのはこちら!
PH試験紙~!!
(cv.水田わさび)
数値が7より小さいと酸性。大きいとアルカリ性。これを使えばハサル液が何性なのかは分かる。普通にただの水だったら爆笑できるわけだ。
配っているAKI氏によるとアルカリ性らしいのだが、本当にそうなのか、ともかく実験をしてみなくては。さあ童心に還ろう。ちょっとした理科の授業の気分だ。
■| 色が変わった!さあハサル液は!?
準備しましたのは次の液体7種類。
① 水道水
② ハサル液
③ ミネラルウォーター
④ レモンティー
⑤ 炭酸飲料
⑥ コーヒー
⑦ ミンティア+?
こんな真夜中に一人で何やってんだろって溢れる涙も試してみたかったところではあるが、ぐっと堪えてしまった。
よし。ここまでやれば、きっと自腹した飲み物代ぐらいは投げ銭をくれる人だっている。いつもありがたいことだ。
という訳で
――――この続きをみるには―――――
続き: 1,341文字
いや、嘘だよ。いいのよ今日は。
また機会があればぜひ宜しくお願いしますね。よしよし。
はい、それでは気を取り直してまずお試しから。
① の水道水だ。ぽとり!
…ふむ。なんだろう。色が変わったのかどうかよく分からない。もともとの黄色が濃くなったようにも見えるし、ただ湿っただけのようにも。このPH試験紙、本当に大丈夫なのかなあ?
調べると、どうやらただの水では色が変わらない仕様らしい。ほう、そうだったのか。
では続きまして、順番的にどうなんだとは思いつつも、早くも本番だ!
② ハサル液!GOだ!
これで色が変わらなかったら爆笑ものなんだが…。
なんかもうどっちでもいいから、さあ来い! スプレーでシュッ!!
・・・。
う、うおおおおおおおお!!!!
か、変わった……! 色が変わった。
ハサルが…ハサルが、立った…(?)
紙がじんわりと濡れてからすぐに変化。完全に緑色だ。これでハサル液がただの水ではないことは証明された。色の濃さで判定する数値としては8~9の間ぐらい。見事なアルカリ性。しかし強アルカリとまでは言えないのでは。
初めてスプレーしたから何枚重ねにもしたティッシュの上に恐る恐るだったけれど、色の変化以外には何も起きなかった。特にじゅわあっと白煙があがったりとか、壁に虫が貼りついたりとか(これツイートしてるのよ配ってる人が)、私が匂いを嗅いで「エンッ!」と叫んでぶっ倒れたりとかがなくて、無臭でも念のために換気していたが、とりあえずほっとした。
大丈夫、大丈夫ということです。
■| 他の液体はどうなのか
さあ、ここでの結論は先送りにし、他の液体が気になる。テンポよく全ての実験をやっていこう。
③ ミネラルウォーター(いろはす)!いつもお世話になってます!
ぽとり!
当たり前だがやっぱり水道水とそんなに変わらないんだな!(こんなことでテンションを上げている38歳はどうなんだ)
さあさあ、次々にいこう!!
もう何の目的でやっているのか早くも忘れてしまうので、とにかく続けてぽとりぽとり、と。
おおおお!! 赤が出たぞおおお!!!
④ レモンティー(紅茶花伝)は酸性を示す赤2ぐらい。
⑤ 炭酸飲料(リアルゴールド)なだけあってリアルに赤1だ。
⑥ コーヒー(マックプレミアムロースト)は、先ほどの水道水やミネラルウォーターとは明らかに違う濃い橙色。数字判定としては酸性の三つ先の4ぐらいに変わった。
さあいよいよラスト。こちら、⑦ミンティア。
…を舐めた私の唾液!!!
(ごめんて。ただのサービス精神というか好奇心よ)
なななんと!
ア・ル・カ・リだあああああ!!!
決してハサルを飲んだ訳ではない。あ、しまった。ミンティアを舐める前と比較してみればよかった。忘れてた…。まあいいや。ていうか、なんならハサル液より濃い緑かもしれん。ニヤニヤが止まらない。
■| この実験をどうするか
さて、結果は以上。並べてみよう。
うーん。分かりやすい。
で、この実験がなんなんだって?
つまり、ハサル液が何性なのかを調べたいがために、調子に乗ってPH試験紙をAmazonで600円ぐらいで買っちまったもんだから、好奇心でいろいろ調べちゃおうとしたってことなんだけどね。分析の三十万円を払えなかった憂さ晴らしではないけど、飲み物代も合わせて計1000円ちょっとでこんなに楽しい経験ができたからプレイスレス。
で、この実験をやったのにはやっぱり理由があるのだ。
こうして他の液体との比較もしてみて、一応は「このハサル液というものはアルカリ性の液体です」と証言することができる。これを私はどこに向けてどう伝えたのか、ってことだ。ふふふふ。
それが、思い描いた二つの道筋の残り一つ。
書けることと書けないことがあるので、ぼかしつつ③に続く。
さあ、この次も?
ハッサル・ハッサルぅ!(もう深夜のテンションで書くのやめろって)
―< 続く >―