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<縁は異なもの粋なもの?>Don’t think! Feel JAZZ! 第九回 「〜女の花道を超えて〜」

※黒田ナオコ過去コラム公開 2018年8月号のひろたりあん新聞掲載

最近、第二の人生として起業を考えている女性たちに会う機会が多い。家庭を持ち子育てをしてこれまで過ごしていたが、やっと自分の時間が持てるようになった主婦の方々や、自力で何かを立ち上げようとしている女性たちだ。

特に、今まで自分の時間の大半を家族に費やしてきた女性は、これからの人生、自分の時間を充実させながら経済的にも自立したいと考える人も多い。

それに将来も不安だ。年金も貰えるかわからない。夫が定年退職した後に働くかも分からないし、夫に一生頼って生きるのも嫌だ。自分も輝いて人の為になるような仕事をしたい。そのような方々に出会うと、前向きすぎて眩しいくらいだ。

私は、この十四年間、子育てをしながら仕事をしてきた。

会社勤めは大学卒業後の二年半のみ。毎朝の通勤とルーティーンワークが合わず、会社を辞めた。それからはフリーで音楽の仕事をしてきた。

結婚後、出産未定の頃から、今後は家で仕事をして子育てと両立できるようにしようと、自宅レッスンを始めていた。

演奏の仕事は、夜の仕事だ。子供が生まれたら出来ないだろう。

私は二十代の頃からその危じ感を抱えていた。だから自宅での昼間の仕事環境を整えて、もしもの産後対策を練っていた。

やがて娘を授かった。

やはり全然外には出られなくなった。親戚も遠くて孤独育児であったし、初めての赤ちゃんを育てることにはとても神経質になった。沢山心配したり悩んだりした。

子育てというのは、他の何よりも大変な仕事だ。神経も体力も限界まで使う。しかし音楽は続けていないと勘を忘れそうで怖い。一歳の声を聞いて、レッスン仕事を産休明けでなんとかスタートした。しかし、一部の男性から、ビックリ仰天する発言を聞くこともある。

「家庭があって子供がいるなら、音楽の仕事は趣味みたいなもんですね」プロ活動して二十年だが、そのような言葉を最近でも何回聞いただろうか。主婦業と育児と仕事をするには、男性の何倍も働かなくてはならない。楽な趣味が仕事として成立する訳が無い。家事育児をバカにしている男尊女卑発言と受け取られても止むを得ないだろう。

男女平等だと言われてもう何十年も経つが、人の意識が変わるのはどうやら百年二百年とかかりそうだ。

このような発言による落胆の時、私はアメリカの人種差別について想いを巡らす。表向きには差別の少ない社会になってきたかもしれないが(優秀な人材は人種を超えて活躍できているという意味で)しかし残念ながら人々の意識の根底にある差別意識がえることはない。歴史はそう簡単には変わらないのだと。

「小さなことから変えるしかない」

仕事に再チャレンジしている女性たちと接していると、そう思う。ビジネスとは無縁のところで、懸命に家庭を守ってきた女性たち。ブランクがありビジネス分野ではまだ素人かもしれないが、溜めてきたエネルギーは計り知れないパワーを持っている。

どんどん勉強をして、夢を叶えて欲しいなと思う。

そして、私も負けずに奮起しなければ、と思う。


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