<縁は異なもの粋なもの?>Don’t think! Feel JAZZ! 第六回 「〜ナマモノを味わう楽しみ〜」
※黒田ナオコ過去コラム公開 2018年2月号のひろたりあん新聞掲載
ひとつの道を究めるとしたら、最低20年はかかると思う。
何故かと言うと、私がこの仕事を始めてもう20年経つから(笑)
今一人前かどうかは分からないが、少なくとも最低でも20年っていうことは身に染みる。
自分はあまり器用に立ち回れないので、遠回りをしているかもしれないが、何事も近道など無いと思えば、遠回りは当然か。
私は、ひとつのことをやるために、アレコレ他に興味を持ってはいけないと自重している。実は色々な遊びもやってみたいけれど我慢する。全てに手を付けていたら時間が足りないからだ。
ゴルフもやりたいし、本格料理も習ってみたい。アート作品も作ってみたい。日本女性は茶道や着付け、フラワーアレンジメントも楽しそう。語学も英語以外にもひとつは。しかし、その時間を持たないことが得策だと信じている。
人生でひとつかふたつか、そのくらいしかプロの道は究められないだろう。
多趣味な人は羨ましいけれど、どれも中途半端だとしたらツマラナイ。どれも才能があるなら素晴らしい能力の持ち主だ。私程度の凡人はそうもいかない。
我ながら我慢強いと思っている(苦笑)
ところで以前、北国の小学校の校歌の歌詞をみたとき「我慢」という言葉が沢山あって驚いた。我慢して耐えて頑張っていれば必ず春が来る、みたいな内容だった。幼少期から耐え忍ぶ生活を強いられていたらとても辛抱強くなるのだろうな。
ジャズは難しいんですよね?とよく言われる。
しかし、ジャズも難しいかもしれないがクラシックも難しい。そう言ったらミュージカルも歌舞伎も難しい。
しかし、難しいのはやるひとで、観る人は難しくない。
あまり知識を持っていないなら楽しめないのか?というわけではない。
例えば、パティシエが作ったケーキを食べるときに、その材料や工程や歴史や芸術性を分析しながら食べる人がそんなにいるだろうか。
ケーキは可愛いし、美味しいし、見て楽しいし、食べる時はたまらなく幸せだ。
みな日頃から気楽にパティシエのケーキを食べている。
プロ同士なら分析し合ってもよいが、プロがつくったケーキを素人が食べるのは、当然の光景だ。
もしプロになりたければ、修行も練習も勉強も人一倍するし、現場で失敗を繰り返して学んでいく。先輩のやり方をみながら学び、お客様の反応や自分なりの研究をして経験値を上げ、ナマモノを生み出していく。
ジャズの生演奏は、ケーキみたいなものだ。
材料からどんな味を生み出すか。
スタンダードの名曲は、材料だ。
どうアレンジしようか、スイングかラテンかそれともワルツか、転調しようか、コードを変えてもいい。ピアノトリオに管楽器も欲しい。シンプルにギターと歌だけもよい。その時に出てくる音に反応しながらアドリブを生む。
自分らしい音楽を演奏したい。
出来上がったものをお客様に喜んでもらいたい。
そんな気持ちがナマモノには詰まっている。
さて次の20年はどうしよう。人生100年を見据えた時代である。