<縁は異なもの粋なもの?>Don’t think! Feel JAZZ! 第七回 「~旅がくれるプレゼント~」
※黒田ナオコ過去コラム公開 2018年4月号のひろたりあん新聞掲載
香港と言えば、飲茶である。いきなりだが、ただいま香港をひとり旅。香港は二度目だ。
前回のコラムで、私は色々なことを我慢してきて音楽への道をまっしぐらに来たような意味合のことを書いたが、
ただひとつ、自分へのご褒美を決めている。海外へ行くことだ。
なんとか時間を作って、家族にも留守を頼んで、年に1~2回は、欧米、アジアなどへ、ひとりで旅行をする。
国内でも良いけれど、海外の良さは、空気がまるで変わること。文化も考え方も違って、異国、まさに異なるところへワープすること。
その心地良さと解放感は、格別だ。
そして何より、狭い世界で悶々としていた事が何だか馬鹿らしくなる、という、とっても大きなプレゼントを貰える。
人間は、ひとつのところに居ると、どうしても視野が狭くなる。そして不満が出てくる。小さな幸せも、小さすぎて嘆いたり、当たり前の光景に感謝するのも、当たり前すぎて詰まらなく感じる。
思考も凝り固まるし、良識と信じていることにも、いつの間にか度を過ぎて神経質になってしまう。
私はその傾向が強めで、現状不満型だ。まあ、常に向上心があるとも言える。
今よりもっといい仕事をしたい、素敵に暮らしたい、知的好奇心を満足させたい、より良い出会いが欲しい、もっと色々な経験がしたいし、より充実した生活を望んでしまう。
ところで、香港と言えば飲茶、と書いたが、そもそもそれは先入観だ。どんな国で、どんな街並みで、どんな匂いか。現地の雰囲気を味わってみなくては分からない。ガイドブックは飲茶でいっぱいだ。日本のガイドブックが寿司だらけだとしたら、寿司は誇るべき文化だが他にも色々あるとも言いたくなる。
とにかく行って体験してみたくなるものだ。
話は飛ぶが、ここのところ気になるのが、あまりジャズを聴かない人から、
「ジャズは夜に聴く音楽ですよね」と言われること。
誰がそんなこと決めたのか。
確かに、ジャズクラブの営業は夜がメインだし、お酒も呑める。
でも、夜限定の音楽でもない。
まるで「ロックは不良」だった時代を思い出させる。
私は、朝でも昼でも、楽しくジャズを聴く。
あるテレビ関係者と、CMにジャズを使えるかと言う話になった時、ジャズは夜の音楽だから使いにくいと言われた。
そのような会話のたびに残念に思う。
爽やかな曲も元気な曲もあるし、CMでもドラマでも沢山のジャズを流している。知らない人はそれをジャズだと気付いていないだけだ。
だから先入観だってば。
いろいろ聴いてみてよ!
しかし、あまり興味が無い人に向かって気持ちをぶつけても仕方ないので、ぐっと言葉を飲み込む。
とにかく、先入観は良くない、という話。
一度見ることである。触れることである。空気を感じることである。そうでないと、それについてはひとつも語れない。
そう思って、ひとり旅を続けている。
そして旅が終わると、頭もすっかり整理されて爽やかになるはずだ。