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AI時代の仕事

近い将来、テクノロジーの進歩によって単純労働を中心に仕事が奪われると言われていますよね。でも私は違うと思います。確かにテクノロジーが十分に進歩すれば「人間にしかできないこと」なんて無くなってしまうことでしょう。現に、お隣の中国ではAI教師の開発も急速に進んでいるそうです。しかし、機械化が可能な、すべての仕事が機械に置き換わるというわけではありません。

大事なことは機械に「代替できるか」ではなく「させたいか」です
この「機械に代替できるか、させたいか」を判断するのは誰でしょうか。それは主に資本家(投資家)と消費者です。

まずは資本家・投資家の視点で考えてみましょう。
どんなに簡単な作業であっても機械化するには、それなりの時間・労働力・お金を投資しなければなりません。したがって、生物学者やコラムニストのような市場規模が小さくて、投資に見合うリターンが見込めない分野は機械化される可能性が低いといえます。

反対に機械化が困難な作業であっても投資に見合うリターンが得られる分野は、投資家が莫大な資金を投入することであっさりと解決されてしまう可能性が高いです。例えば、画像認識は30年前は夢の技術でしたが、今ではありふれたものになっていますよね。つまりテクノロジーが加速度的に進歩する2000年以降の世界においては「機械に代替できるかどうか」という難易度の問題はあまり重要ではないのです。言い方を変えれば、投資家のお金が集まるかどうか(市場規模の大きさ)が重要と言えます。

では次に、消費者の視点で考えてみましょう。
例えばあなたがコーヒーを飲むときのことを想像してみてください。自販機から買ったコーヒーと、笑顔の店員に接客を受けながら飲むコーヒーのどちらにお金を払いたいと想うでしょうか。値段や風味など、人によってコーヒーに求める品質は異なりますが、店員との人間的な触れ合いに大きな価値を見出すこともあるでしょう。

つまり、AI時代の機械に代替されない仕事とは、以下の2つに分類できるということです。
 ●市場規模が小さくてリターンの少ない分野
 ●人間がやることに意味があり、人間にやらせたい仕事

前者のような市場規模の小さい分野は、機械に代替されない代わりに儲からない分野でもあるので、職業として選択するのは厳しいかもしれませんね。では後者の「人間にやらせたい仕事」とは何でしょうか。

今のところ、私には以下の4つくらいしか思いつきません。
 ①家族・友達・ペットのような「情緒的な役割」
 ②信頼・憧れ・尊敬・畏敬のような「宗教的なアイコンとしての役割」
 ③消費者のような「人間でなければ意味がない社会的な役割」
 ④検索では得られない「経験などの無形物」

情緒的な役割の仕事の例としては主婦があります。
ここでいう「仕事としての主婦」とは、家政婦のように家事労働を担う人という意味ではありません。父・母・息子・嫁・・・のように、まさしく家族の一員という意味です。コンビニ弁当・ファミレス・家事代行などが普及しても、主婦が作るマズい家庭料理の需要が無くなることは、おそらくないですよね。とはいえ、家族や友人関係にお金を払うことに抵抗のある人は多いでしょうから、レンタル家族のような「人間関係そのものをビジネスにする」というのは現実的ではないでしょうね。

宗教的なアイコンとは、有名タレントのように宗教的に崇拝されている人物のことです。彼らの場合は、自分を信仰している人たちからの信頼を換金するビジネスが成り立ちます。タレントやインスタグラマーが商品を紹介することで広告料を得るというのは、これに該当します。

人間でなければ意味がない社会的な役割の例として消費者をあげましたが、これは「消費に専念する人」という意味です。私は【消費者】という新たな職業が一般的になる可能性はかなり高いと思っています。
その理由は2つあります。

1つ目は、消費行動は人がやらなければ意味がないからです。現在の法律では、お金を使えるのは法人と個人(人間)の2つしかありません。つまり法人と個人のどちらかしかお客さんになりえないのです。個人客相手のビジネスが減ることはあっても、無くなることはさすがにないでしょう。なので消費者という社会的な役割が機械に代替される可能性は低いと考えます。

2つ目の理由は、TVやユーチューブなどは「広告を見る(労働)と引き換えに、無料視聴という報酬が与えられている」と解釈できます。つまり、すでにテレビを見るという消費行動が、報酬をともなう労働になっているのです。将来的には「完全自動運転の電動タクシーに乗ると、目的地周辺に関係する広告が車内の画面に表示されて、それを見たり予約をすると広告主からタクシー会社へ広告料が支払われる。乗客はその広告料によって無料で移動できるようになる」というケースが考えられます。この場合、広告を見たり予約をするといった消費行動が労働にあたり、無料タクシーは報酬という扱いになります。

経験などの無形物とは、主にインスタグラマーなどのようにキラキラした写真を投稿することで人気を博している人たちがイメージしやすいでしょうか。今ではGoogleによって誰でも簡単に同じような知識や情報が得られるようになっています。しかしその一方で検索では得られない経験や体験の価値が上がっているのです。インスタグラマーたちは、一般人とは異なる経験を提供することで人気を得ているのです。

最近よく見る、恋愛リアリティー系の番組も、狙いとしては同じことだと思います。一般の女性が経験できないような疑似恋愛を演出して、登場人物に「彼と彼女がどうのこうの、それに対して私は〇〇と思っている」のように語らせることで【恋愛という経験を売るビジネスモデル】なんだと思います。

なぜこのような事が起こっているのか。あるいは将来に起こると言えるのかというと、経済の本質は生産ではなく情報処理(演算)だからです。経済には【価値の交換・需給の調整・イノベーション(技術革新)・幸福の追求】という4つの要素が必要です。作物を育てたり車や家電製品を作ることは経済にとって重要です。しかし生産するだけではこの4つの要素のどれも満たすことができません。

この4つを満たすためには情報の処理が必要です。AIを含む現在のコンピューターの性能としては、価値の交換と需給の調整は人間よりも上手にこなせる場面が多いでしょう。しかし、イノベーション(技術革新)と幸福の追求に関しては人間の方が上手だと考えらえす。まさに、AI時代に人間がやるべき仕事なのです。

AI時代の経済
経済活動の本質が情報処理であるということを、もう少し詳しく見てみましょう。経済における人間の役割とは、パソコンでいうところのCPUです。お金はその間を流れて情報を伝える電気に相当します。生産活動が機械に置き換わっていく時代においては「タクシーやテレビなどの生産は機械に任せて、人間は情報処理(特にイノベーションと幸福の追求)に専念しましょう」という考え方はとても重要です。

1800年以前は、経済活動のほとんどが肉体労働(生産)であり「経済=生産」の状態でした。しかし1800年以降は肉体労働の多くが機械に置き換わり、ホワイトカラーという生産に貢献しない労働者が誕生しました。彼らはソロバンを使って計算をしたり書類を整理するなど、情報処理に関わる仕事が中心でした。そして、この流れはAI時代も変わらないことでしょう。農業・工業・漁業などの肉体労働は現在でも5%ほどしかいないそうですが、税理士・公務員・銀行員のような定型の業務が中心の分野でも同様に機械化が進んで、職種そのものが絶滅危惧種になるはずです。

人間にやらせたい仕事のところで示した以下の4つ
 ①家族・友達・ペットのような「情緒的な役割」
 ②信頼・憧れ・尊敬・畏敬のような「宗教的なアイコンとしての役割」
 ③消費者のような「人間でなければ意味がない社会的な役割」
 ④検索では得られない「経験などの無形物」

先にあげた【価値の交換・需給の調整・イノベーション(技術革新)・幸福の追求】という4つの要素のうち、イノベーション(技術革新)と幸福の追求は人間の方が得意です。この人間にやらせたい仕事(①~④)と合わせて、経済に貢献できる自分の立ち位置を探す必要がありそうです。

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