モブ男は批判されるけど、猗窩座は批判されない。
例えば、あなたがラブコメマンガの読者だとする。
舞台は学園でも会社でもいいが、「ハーレムもの」ではなくて「カップルもの」って言うのだろうか?
とにかくもうカップルが成立しているラブコメマンガを読んでいるとする。
で、そのカップルの絆を深める要素として”当て馬”的なモブが登場する。
「へいへいそこのかわいいお姉さん。オレと少しお茶しない?」
彼女の方は毅然と断るも、モブ男は「少しだけいいじゃん」と彼女の腕を掴む。
そこで彼氏が「僕の彼女に何か用?」と現れる。
ここで「彼氏持ちかよ」と立ち去るのがスタンダードだが、このモブ男はもうひと絡みする。
「こんなダサい男が彼氏かよ」
そう言うと彼女のスイッチが入り、「彼の素敵なところ」そして「人を批判するお前の方がダサいわ」という完全論破で、モブ男を退ける。
「彼女を守る彼氏」と「彼氏を愛してる彼女」という典型的なイチャイチャと、二人の仲をより深めるエピソードである。
さて、この話を読んだあなたはどんな感想を持つだろうか?
彼女を守る彼氏を”ヒーロー”として持ち上げるか、「彼女は僕の」と言わんばかりの独占欲にキュンキュンするか。
それとも彼氏に守られる彼女の”女”にそそられるか、はたまた彼氏のいいところをしっかり把握し言語化できる愛の深さに惚れ惚れするか。
たった一言「尊い」とだけ言い残し、塵となる読者もいるだろう。
そして、敗走するモブ男を批判するコメントもある。
「お前の方がダサい」と彼女の発言に同調するコメントもあれば、「その服装でナンパかよ」のようにモブ男の粗を探して批判するコメントもある。
もちろん「当て馬」という物語上での役割があるので、モブ男が批判されることは作者の想定内である。
しかし、これは物語が創作だから許されている「グレーゾーン」的な位置にある。
もっと詳しく言うならば、名前も素性も、顔すら描かれない「赤の他人には何をしてもいい」という風潮。
この人間の気質はとても怖いものである。
この気質は、しばしば「現実に生きている人」に向かう。
バイトテロを行う人や、人の悪口をSNSで発信し最悪の結末を迎えたことなど、「悪いことをした人」がいるのは事実である。
しかし「悪いことをした人」を裁くのは法の役割である。
なのにも関わらず「悪いことをした人」には「何をしてもいい」と勘違いをし、誹謗中傷が繰り返される。
『推しの子』の黒川あかね回で、お前らは何を学んだのだ?
僕では人を変えられない。
僕が変えられるのは僕だけである。
ここでどんな高尚な話をしたところで、ネットというブラックホールはあっという間に僕の言葉を吸い込んでいく。
ここから話すのは「自衛」の話。
どこで火の手が上がり、どう燃え広がるかわからない。
僕自身が出火元になるかもしれないし、巻き込みで炎上するかもしれない。
そんな時、自分を守る策。
それは、「同情を誘う」こと。
『鬼滅の刃』に猗窩座という鬼がいる。
猗窩座は鬼の中でもトップクラスの鬼であり、これまで様々な人を喰らってきた悪しき鬼である。
そんな猗窩座は『無限列車編』にて、炎柱の煉獄さんを殺している。
『鬼滅の刃』の主人公・炭治郎にとって強力な助っ人となる「柱」の一人を殺したこと。
それは猗窩座が明確な「敵側」であることを示している。
であるならばよ、猗窩座はバチクソに叩かれるはずだよね。
「よくも煉獄さんを」
もちろんそういう発信もあったと思う。
しかし「猗窩座も実はね……。」と、擁護はできずとも同情する発信の方が多かったと思う。
なぜなら「猗窩座の人間時代の不幸」が描写されているから。
詳しくは原作マンガを読んで欲しい。
僕がここで言いたいのは、猗窩座のように「同情できる物語」があれば批判を和らげることができるということ。
まぁ「批判されるようなことはするな」で済む話なのだけど、いつどこで燃え上がるかわからない。
そして素性がわからない「赤の他人」を、人は当然のように殴り蹴る。
難しい話だな。
前提として「余計なことはするな」「仲間内のネタをSNSにあげるな」というものがある。
そしてそれが拡散されたとしても「裁くのは法であり、自分では無い」というリテラシーも必要だ。
だけど「人の声が善悪を決める」という民主主義を基礎として、法もビジネスも回っている。
ので、「一人一人ができることは批判に対する自衛だろう」という話。
で、「自衛」のためには「同情を誘う」のが効果的だろうという推測。
だから結論としては、みんなnote書こうよ。
「自分はこう考えているよ」と表現すること。
それがいいものであれば”いい人”として認知されるし、間違っていれば影響力の少ないうちに修正が入る。
「人」がわからないから「何してもいい」と思われる。
言葉の先に「人」がいることがわかれば、多くの人は矛を収める。
別に1000人、1万人という大きな数を揃える必要は無い。
片手でも埋まれば、矛先をぶらすことができるでしょう。
以上!くろだでした。
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