海洋プラスチック問題に注目するノルウェー政府年金基金
9月5日にノルウェー政府年金基金は「海洋の持続可能性」という「期待レポート(Expectation Paper)」を公表しました。「期待レポート」はこれまで気候変動、水利用、児童の権利、納税の透明性、汚職リスク、役員報酬等のテーマで公表されてきましたが、その後同基金が保有する企業へのエンゲージメントのテーマとなったことから、今回も同様の展開が予想されます。もちろんエンゲージメントは企業行動の変革を促すものですが、最悪の場合行動を変える意欲を持たない企業に対しては株式を売却するダイベストメントも念頭に置いておく必要があります。
「海洋の持続可能性」というタイトルが示す通り、プラスチックはあくまで汚染源の1つに過ぎず、他にも観光や船舶運航による汚染や、農業や廃棄物処理等陸上での汚染が海洋に流出したものも同レポートでは触れられています。しかし国内外で海洋プラスチックの問題が大きく取り上げられているこのタイミングで同レポートを公表していることから、同テーマも大きく取り上げたいとの意図が見え隠れしているような気がしています。
具体的に同基金が期待しているのは以下の4点です。
・経営戦略への統合:例えば製紙業界等プラスチック代替で収益期待が高まる業界に属する企業は戦略として同テーマを取り上げるべきということです
・企業のリスクマネジメントへの統合:反面、化学業界等はマテリアルリサイクル等の体制を整備し、同基金に示す必要があります
・マテリアリティ及び業績指標(KPI)・目標の開示:収益貢献であれ、リスク回避であれ、定量的な目標・実績開示が求められます
・関連政策立案への関与:自社の取り組みにとどまらず、規制当局にも適切な情報提供することにより、過剰または過小な政策を回避しなければなりません
同基金はグローバルの約9,000社に投資しており、保有銘柄には日本の化学メーカーや小売業者も多く含まれています。同基金の期待に対して、これらの企業の対応が注目されます。
https://www.nbim.no/en/transparency/news-list/2018/expectations-on-ocean-sustainability/
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