大学生が考えたESG投資を広める方法
ここ2年ほど青山学院大学で前期はCSRについて講義を担当させていただいています。企業が様々なステークホルダーとどう付き合うべきか、学生が自主的に考えられるようサポートしています。その中で株主との関係についてはインベストメントチェーンにおけるエージェンシー問題についても話します。インベストメントチェーンとは年金等の最終受益者の投資資金は年金基金等アセットオーナー、株式運用の実務を担当するアセットマネジャーを通して企業に投資されるという関係のことです。エージェンシー問題とはこの場合、投資の委託者である最終受益者と受託者であるアセットオーナー、アセットマネジャー、最終的には企業との利害が一致しない可能性があることです。最終受益者がESG要因を考慮した投資を行なってほしいと考えていても、受託者がそれを実行しない可能性があります。
学生にはこの問題の解決に寄与する施策案を考えてもらいます。もちろん彼らの投資に関する知識には差がありますし、インベストメントチェーンのある主体が行動を変えれば問題が解決するわけではありません。そのため実現可能性の高いものばかりが出るわけではありませんが、学生の目を通して出る意見はやはり新鮮です。以下はその一例です。
・政府が多くのアセットオーナー、アセットマネジャーにスチュワードシップ・コード署名を促し、コードに準じた情報開示の内容を監視する
・第三者委員会による活動評価を行なっているアセットマネジャーを高く評価する仕組みを作る
・アセットオーナー、アセットマネジャーが互いに意見交換し、エンゲージメントの質の向上に努める
そして上記の活動の効果を高めるため、「若者への投資教育を充実させ、投資行動の普及に努める」が挙がりました。そもそも将来の受益者である若者が投資を知らなければ、エージェンシー問題にも気づかないという危機感がこの意見には表れています。アセットオーナーやアセットマネジャーへのESG投資教育はもちろん重要ですが、最終受益者たる一般市民への教育も大々的に行われるべきと考えています。
(以下の資料の7ページもぜひご覧ください)
https://www.mof.go.jp/pri/research/seminar/fy2017/lm20180220.pdf
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