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グリーンボンド・ソーシャルボンドと親和性の高いSDGs

昨年からSDGsが大きな話題となっています。SDGsとは国連の採択した「持続可能な開発目標」で、株式投資ではESG側面に関する企業と投資家との間の対話の糸口として定着しつつあり、主に企業の収益機会とリスク管理の文脈で取り上げられることが多いです。具体的には環境・社会課題解決に資する製品・サービスを強調したり、従来からのCSR活動をSDGsの枠組みに当てはめて説明したりすることで、企業は投資家にアピールしています。もちろんSDGsに沿った開示に積極的な企業は社会との協調を重視していることから、単に財務的な魅力を強調する企業よりも収益の安定性が期待されます。しかしSDGsの本来の目的を考えると、これは限定的な適用と言えるかもしれません。

SDGsには17の目標と、169のターゲットで構成されており、それぞれ先進国・新興国の環境・社会問題の緩和を謳っています。その達成のためのKPI(業績指標)は第一義的には環境・社会問題に関するものであり、どちらかというと投資リターンは副次的なものと想定されています。すなわち収益機会やリスク管理といった企業の中で閉じた考え方ではなく、社外に対する好影響を追求する姿勢こそSDGsの趣旨に沿っていると言えます。

環境・社会への好影響を重視するという点では、日本でも徐々に市場が拡大しているグリーンボンドやソーシャルボンドの方が実はSDGsと親和性が高いと言えます。グリーンボンドとは、気候変動・水・生物多様性対策など、環境に好影響を及ぼす事業活動に資金使途を限定した債券のことです。環境事業向けの資金調達を行いたい、あるいは資金調達に応じてくれる投資家の幅を広げたい発行体と、環境に配慮していることをアピールしたい投資家のニーズが合致して、グリーンボンドは誕生しました。他方ソーシャルボンドは、グリーンボンド市場の拡大とともに登場した金融商品で福祉、教育、交通、住宅など社会課題解決型の活動のための資金使途を前提としています。これらのテーマ型ボンドでは資金使途を限定する代わりに、調達資金の投資による環境・社会面での好影響に投資家は注目しており、具体的には好影響をまとめたインパクト報告の開示を求めます。

グリーンボンド・ソーシャルボンド発行に関する自主規制を取り纏めている国際資本市場協会(ICMA)はグリーンボンド・ソーシャルボンドの推奨資金使途とSDGsとの関連性をまとめた文書を先週14日に公表しました。時宜に適ったものとして歓迎したいと思います。



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